幼なじみから卒業して、カップルになって数日。憂くんが引っ越してしまう日になった。
寂しいけど、もうこれでお別れってわけじゃないのが嬉しい。
毎晩電話するって、月に1回は絶対帰ってくるって約束もしてくれた。
お見送りする約束してた時間の前に突然憂くんからメッセージが来た。
それで今はお散歩中。
憂くんの視線の先にあったのは、小さい頃何回も遊んだ児童公園。
はげたペンキが経った月日の長さを感じさせる。
砂場の横のベンチを指差す憂くん。
久しぶりに公園の敷地に入って、ふたりで並んで座る。
は!?なにそれ....恥ずかしすぎる!
そう言うやいなや、
憂くんの顔が一気に近づいてきて、
唇が重なった。
もう私の顔は真っ赤だろう。
不意打ちは、ずるい
まあそうするだろうけど。
え、もう?
...寂しいな。
離れたくない。
このセリフを言うのは恥ずかしいけど、しばらく会えないしね、大サービス(?)しとく。
そして私たちは歩き出した。
手を繋いで。
ずっと抱えていた思いは、
伝わらないことも
伝えられないこともあったけど
最後の最後は伝わって、
そして結ばれた。
15年間そばにいてくれてありがとう。
バイバイ。
1年後、私がそばに行けるまで、待っててね。
Fin.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!