第10話

エピローグ
141
2018/03/04 14:09
幼なじみから卒業して、カップルになって数日。憂くんが引っ越してしまう日になった。
寂しいけど、もうこれでお別れってわけじゃないのが嬉しい。
毎晩電話するって、月に1回は絶対帰ってくるって約束もしてくれた。
ちょっと歩こう
お見送りする約束してた時間の前に突然憂くんからメッセージが来た。
それで今はお散歩中。
あーこの公園懐かしいな
憂くんの視線の先にあったのは、小さい頃何回も遊んだ児童公園。
はげたペンキが経った月日の長さを感じさせる。
あそこ座らない?
砂場の横のベンチを指差す憂くん。
久しぶりに公園の敷地に入って、ふたりで並んで座る。
この砂場で色々したよね、家族ごっことか、トンネル掘りとか!
ああ...そういえばやったな
懐かしい...あと、
何?
お城作ってさ、お姫様ごっこしたよね
楓覚えてないかもしれないけどさ、俺ら1回だけキスしたよね
は!?なにそれ....恥ずかしすぎる!
幼稚園児って怖いな...自分のことだけど。なんか、ファーストキス奪ってごめんなさい....
謝らなくていいけどさ、俺一人だけ覚えててバカみたいじゃん
そう言うやいなや、
憂くんの顔が一気に近づいてきて、
唇が重なった。
んな...!?急に...不意打ちやめてよ...
もう私の顔は真っ赤だろう。
不意打ちは、ずるい
予告したらお前真っ赤になって逃げそうだったから
まあそうするだろうけど。
あ、そろそろ出発の時間だ
え、もう?
...寂しいな。
離れたくない。
お前さ、来年俺の大学に来いよ。いや、俺の大学じゃなくてもいいから、近いところ。それでさ、一緒に住もう?
え....普通付き合って数日で同棲のお約束もちかけてくる?
そこは、うん!っていうとこだろ、お前はもう...。
...行くよ。私、憂くんの一緒にいたいもん。勉強頑張る!
このセリフを言うのは恥ずかしいけど、しばらく会えないしね、大サービス(?)しとく。
うん、待ってる。
...よし、家に戻ろうか、母さん達にも色々言わないといけないし
うん!
そして私たちは歩き出した。
手を繋いで。
ずっと抱えていた思いは、
伝わらないことも
伝えられないこともあったけど
最後の最後は伝わって、
そして結ばれた。

15年間そばにいてくれてありがとう。
バイバイ。
1年後、私がそばに行けるまで、待っててね。

Fin.

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