第8話

独りの帰り道、そして
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2018/03/04 06:26
結局、中学校のときと同じだ。
怖気づいて、結局言えなくて。
でも...きっと言ってもダメだったよね。どう考えたって勝てる相手じゃない。
言わなくて正解。うん、そう思おう。

この道、人通り少なくてよかった。こんなぐしゃぐしゃの顔見られたら恥ずかしすぎる。
1人だと、家までの道がすごく遠い...いつも憂くんと話してたからな、もうそんな機会ないだろうけど...今朝は楽しかったな。
不審者
ねえ...君なんで泣いてるの、?
なに、この人...マスクにサングラス、見るからに怪しい...。
不審者
慰めてあげる、おいで
ああこれが噂の不審者かまだ居たんだな
なんだっけ小学校で聞いたよな、いかのおすしだっけちがうな
いろんなことが頭の中に浮かんでは消える
どうしたらいいの、
あ、あの...大丈夫です...
これだけ口に出すので精一杯
お願い、これで引き下がって、
不審者
いいからおいでよー
腕を掴まれる。
そういえばさっき変な路上駐車の車あったな。連れていかれるのかな。
嫌だ、怖いよ、
腕をつかむ手を振り払おうとするけど、力が出ない。
声を出そうとしても、喉の奥で引っかかってて息が漏れるばかり。
助けて、だれか、お願い....
憂くん...たすけて
楓!!
振り向くと全速力で走ってくる憂くん。
不審者
チッ
不審者は手を離して走っていった。
楓!大丈夫か!?
ぎゅっと抱きしめられる。
いつもだったら照れてるけど、今はさっきの恐怖でそんな余裕もない。
憂くん、なんで来てくれたの。あの人と過ごすんじゃないの。
色々思ったことはあったけど、それは全部声にはならなくて。
憂くん、怖か、った...ありがとう、ね...
嗚咽とともに出てきたのはこれだけだった。
私が落ちるくまで、憂くんは黙って背中をさすってくれていた。
やっと落ち着くと、今度は恥ずかしさが押し寄せてくる。どうしよう抱きしめられてる....。
も、もう大丈夫!ありがとうね!
そう?よかった
お前先に帰るなよ、最後までお前と帰るって言ったじゃん俺。
だって、それは....
憂くん告白されてたし.....あ

今度は別の感情が襲ってくる。
そう、さっき私は、失恋したんだ。
伝えてすらないけど。
さっきは言えなかった。
だけど今助けてもらって思った。
昔から、私を助けてくれる優しい憂くんが大好き。
もう他人のものかもしれないけど、伝えるだけ、伝えたい。
もう一回会えたのはきっと神様がくれたチャンスだから。
俺だって言いたいことあったしさ、ほんとにお前は...
憂くん
憂くんの言葉を遮る。
なに
あのね、15年間一緒にいてくれてありがとう。優しい憂くんがずっと好きだったよ。幼馴染としてじゃなくて、恋愛的な意味で。
それだけ言いたかったの。やっと言えた。今までほんとにありがとね、バイバイ
覚悟を決めて、できるだけ笑顔を作って、15年間分の思いを込めて。

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