第9話

憂くんの守りたいひと
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2018/03/06 11:38
やっと言えた。
私は憂くんを置いて走り出す。
よかった。これでお別れだけど。
背を向ける直前に見えた憂くんは、あっけに取られた顔してた。
そりゃそうだよね、妹みたいにしか思ってない幼馴染のわたしに告白されたんだもん。
涙は止まらないけど、私の恋は終わったけど、きっと後悔はしない。
っ...おい待てよ!
待たない。
私は返事なんて求めてないんだよ。
むしろこれ以上何も聞きたくない。
待てないよ。
追いかけてくる憂くん。
私も必死で走ったけど、男子に、しかも運動部だった人間から逃げ切れるわけなくて。
あっさり捕まってしまう。
憂くん、私返事なんて求めてないから!
離してよ...!
もう、これ以上傷つきたくない...
これが私の本音。
もうちゃんとわかってるから。
憂くんはきっとあの綺麗な人のものになってるんでしょう?
それをわざわざ本人から聞くなんて無理だから。
楓、暴れないでよ...
嫌だ、離して
ねえ楓、お願いだから、聞いて?
ハッとした。
そう言って私の目をのぞき込む憂くんは今まで見たことないぐらい必死で。
私だけを真っ直ぐに見てた。
そんな目で見られたらもう、振りほどけない。もし、あの人への思いとかを語り始めたら辛いけど、憂くんとしてもけじめをつけたいのかもしれないし、ちゃんと聞こう。そして、思いっきり泣くんだ。
....わかった
俺には、好きな子がいる。
俺にとってめちゃくちゃ大事な存在。
ああやっぱりそうなんだ。
大事な存在なんだね、ああダメだ、涙が堪えられない。
すごく可愛くて、目が離せないようなところもあって、
仮にも告白してきた女に、自分の彼女の話する?悲しみとともに怒りがこみ上げる。
危なかしいから、ずっと、守っていきたいと思ってる。それから、今まで一緒にいて俺に幸せをくれてたことにお礼を言いたい。
楓、15年間ありがとう。ずっと好きだった
....え?
わたし...?
ゆっくり顔をあげると、私を見つめて微笑む憂くんが居た。
あ、あの...私...?
うん。楓以外いない
あの、きれいなひとは?
ああ私可愛くないな。今こんな事聞くなんて。
やっぱりお前見てたんだ。友達が言ってた。楓が教室の方に行ったって。
断ったよ
な、んで?あんなに...綺麗なのに
お前が好きだから。
当たり前だろ。
何回も言わせるなよ...恥ずかしい
ああ馬鹿だな私は。
なんでなんて普通聞かないのにね。
俺は楓が好きです。付き合ってください
ちょっと早口で、顔を赤くして言う憂くん。
私の答えはもちろん決まってる。
はい!

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