
第43話
土曜日の寒気
さっきから、身体中が冷たい。
寒いじゃなくて、冷たい。
元気があるのに、冷たい。
なんだろうか…
周りでは3人が楽しそうに食事してる。
私は、笑ってこの異常な冷たさを隠すしかない。
私は、目線を自分の手にやる。
えっ…
手が…
消えかけてる。
次の瞬間。
ふわりと、身体が軽くなった気がした。
もう本当に最後なのかな。
何も考えられない。
身動きも取れない。
思考回路が徐々に鈍っていく。
その中でただただ、ずっと愛しい人達の声が響く。
私の名前を何度も何度も叫んでる。
私はこれに何も反応することが出来ない。
最初から、こんな恋。
許されなかったんだって、確信した。
私なんて、所詮死者。
元人間とはいえ、こんなことしちゃいけなかったんだ。
はじめ達に会わなければ。
あの公園に行かなければ。
あの横断歩道を渡らなければ。
死ななかったら。
私が、生きていなかったら。
涙で視界がぼやける。
身体はもうそろそろ宙に浮いてしまうほど。
私は、優しく目を閉じた。
@はじめsideーーーーーーーーーーーーーー
どうして?
みんなあなたの名前を呼んでるよ?
ねぇ、起きてよ。
あなたは身体を俺の膝に預けて消えかけてく。
俺は、あなたの手を…
握れなかった。
握りたかった。
でも、触れた瞬間。
あなたが、キラキラ光る粉になって消えた。
俺は泣いた。
溢れる涙をそのままに。
泣きじゃくった。
なんて冷静に話すポッキーくんの声は耳を通り抜けた。
俺が出した結論。
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