
第35話
金曜日の未熟者
私とテオくんは、近くの公園のベンチに腰掛けた。
テオくんが、悲しい顔をしながら言うからこっちまで悲しくなってきた。
そ、
そんな…
こんな話を聞くと、罪悪感が押し寄せる。
あんな笑顔が素敵なじんたんが…?
そのじんたんから、私は笑顔を奪ったの?
次の言葉を言おうとした時…
あの時
私が面と向かって話そうとしていたら。
あの時
逃げなかったら。
あの時
私が"う祭り"に行かなかったら。
あの時_
死ななかったら。
どうしても、
どうしても、
そう思ってしまう。
自分が死んでるって、
そんなの、
私のことが見える人の周りにいたせいで、
まるで、
まだ生きてるみたいで、
本当は、
本当は、
息すらしてないはずなのに、
きっと、
きっと、
あの夜、そらちぃと見た女の子は、
私じゃない、
そんな気もしてきた、
自分が、
信じられない、
テオくんは、優しく私の肩を抱いてくれた。
優しく涙が落ちた。
その涙をすくうように、テオくんが涙を拭いてくれる。
すると…
顔を上げると、軽く息を切らしたじんたんが目の前にいた。
すると、いきなりじんたんが何かを否定するように、首を左右にふった。
そして少し俯く。
私は息をのむ。
じんたんが、真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
消え入りそうな声。
震えかけてる身体。
なんて私は、未熟なんだろうか。
優しい声で、撫でるように聞くテオくん。
優しく微笑むじんたん。
雰囲気が、和やかになる。
私は、じんたんを握手をした。
大きく手を振って、私達は真逆の方向へ帰った。
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