第28話

木曜日の夜景は
1,026
2018/06/10 04:38
あなた

ん〜、シルク〜?

私の目の前は真っ暗。
当たり前、目をつぶってるから。
でもなんか、すごく怖い。
暗闇の中で、ポツリ自分だけ取り残されてるみたいで。















悲しい。
“バタッ”
私側の車のドアが開くのが分かった。
シルク
ほら、手貸して。
優しいシルクは、私を支えてゆっくりと立たせてくれた。
シルク
んじゃ、階段だから。
あなた

目、開けていいでしょ?

私はゆっくり、まぶたをあげた。
シルク
ダメ。乗って。
目の前でシルクが背を向けてかがみ、背中に乗るよう指示している。
あなた

えー!?歩けるし…

私は?わざとムスッとした顔をする。
シルク
いいからっ!
渋々、シルクの背中に乗る。
シルク
いや、本当あなた軽いな。
ちゃんと、食ってんの?
あなた

た、食べてるわ!

可愛くない言い方しちゃった。
シルク
あ、ちゃんと目つぶってろよ?
あなた

つぶってます〜だ!

少し生意気に言い返す。
“トンっ” “トンっ”
と、少しづつ階段を上がってく音が聞こえる。
シルク
へい、頂上ですよ。
あなた

じゃあ、降りる。

シルク
だめ。このまま。
私は無言で、バタバタと手足を動かす。
シルク
そんなことしたら落ちるけど。
あなた

!?!?

あなた

私は、諦めて動きを止めた。
おんぶされたまま…か。
シルク
ほら。目、開けて?
目の前でシルクの声が聞こえる。
ゆっくりと、思いまぶたをあげると_
あなた

うわぁっ!

目の前には、東京がすっぽり視界に入る綺麗な夜景が広がっていた。
あなた

すごい…

シルク
だろ?
得意げにそういうシルク。
あなた

できれば…

“生きている時”に、来たかったな。
シルク
なんだよ?笑笑
なんて、言えなかった…
いや、言いたくなかった。
泣きそう…だな。
気づいたら暖かい何かが、頬を流れた。
@シルクsideーーーーーーーーーーーーーー
急にあなたが黙り込んだ。
やっぱおぶったまま見るなんて、無理があったか?
少し反省。
シルク
あなた…?
俺ができるだけの優しい声で、
“好きな人”の名前を呼ぶ。
あなた

うぅ…っ。ぐずっ。

泣い…てる?
俺はあなたをスッとおろす。
そして、あなたの手を優しい引き、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
抱きしめた。
シルクが、私を抱きしめた。
あなた

し…シルk…

シルク
何も…何も喋んな。
私は力強く、大きな手で包まれてく。
ふわっと香る、シルクの匂い。
なんか…嬉しい。
悲しみの涙が、嬉しいさの涙に変わった。
シルク
このままでいい。
あなた

シルク
このままでいいから。
シルク
あなた、よく聞けよ?
優しい声が、ふっと耳にかかる。

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