第37話

金曜日とこの先の未来
973
2018/07/02 12:37
小さな白い光が、私の目の前に現れて…
消えた。
あなた

なになになになに!?!?

はじめ
お、近いね。行くよ〜!
私の問に応えないはじめは、私の手を"グッ"っと引っ張っておもむろに走り出した。
あなた

急にどうしたの!?

あの光と、私たちの行く目的地になんの関係があるの???
あなた

ねぇ、はじm…

そこまで言って私は、驚いた。
思わず言葉を失う。
さっきみたいな光の粒が、今度は数えきれない程、宝石のように浮いていたのである。
はじめ
着い…た。
軽く息を切らせながらそうはじめが言った。
私は、ボーッとその宝石を眺めた。
はじめ
綺麗でしょ?
あなた

うん…

はじめ
どうしても、
あなたに見せたかったんだ。
そう言ったはじめは、1歩前に出て振り返った。
はじめ
おいで?
私の手を優しく引っ張る。
あなた

綺麗…

私がそう呟くと、はじめは嬉しそうに微笑んだ。
はじめ
気に入った…かな?
あなた

もちろん!

本当にすごく綺麗。
月明かりに宝石のような蛍が、川面に反射して美しさを増す。
あなた

蛍だぁ…

はじめ
そうだよ?
こんなに綺麗なのにあんまり知られてないだよ!
はじめ
俺の好きな場所。
月夜に照らされる、2人の影。
あなた

へぇ…

はじめ
あなた?こっち向いて?
あなた

私は、はじめと顔を合わせる。
はじめ
目、閉じて?
私は動揺を隠せず、あたふたする。
はじめ
いいからほらっ!
言われるがまま、とりあえず目を瞑る。
目の前が真っ暗で。
怖くて、怖くて、
やだよ。
嫌だ、嫌だ!!!
いつまで経っても何も変化がない。
あなた

はじめ…?ねぇ、目…

"開けるよ?"
そう聞こうとした時_
はじめが、私の手を握ったのが分かった。
大きな手が私をの手を包む。
そして、右の指に重みを感じる。
私は、はじめの許可なしに目を開けてしまった。
あなた

えっ…?

はじめ
あっ、あなた、目ぇ開けたぁ!
あなた

ご、ごめん…

私ははじめの反応にクスッと笑う。
手元を見ると、キラキラ光る何かが指にピッタリとハマっていた。
あなた

…これって…

はじめ
あなたが、
喜ぶかなぁ〜と思って。
はじめ
いつかは、
左手の薬指にはめさせてね?
涙がとめどなく流れ始めた。
はじめが、微笑んで私の顔を覗き込む。
言葉で表せなほど嬉しくて、
ただただ
目の前にいるこの人と、
この先の未来が、
嬉しくて。
はじめ
このぉ〜泣き虫あなた!
あなた

ごめんなさぁ〜い 泣

はじめ
俺はいつでも待ってるから。
私の揺らいでいる心を読み取るかのようにそう言ったはじめ。
あなた

分かったよ、

私は泣きながら笑う。
私達は
月が満ちる素敵な暗闇に包み込まれた。

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