小さな白い光が、私の目の前に現れて…
消えた。
私の問に応えないはじめは、私の手を"グッ"っと引っ張っておもむろに走り出した。
あの光と、私たちの行く目的地になんの関係があるの???
そこまで言って私は、驚いた。
思わず言葉を失う。
さっきみたいな光の粒が、今度は数えきれない程、宝石のように浮いていたのである。
軽く息を切らせながらそうはじめが言った。
私は、ボーッとその宝石を眺めた。
そう言ったはじめは、1歩前に出て振り返った。
私の手を優しく引っ張る。
私がそう呟くと、はじめは嬉しそうに微笑んだ。
本当にすごく綺麗。
月明かりに宝石のような蛍が、川面に反射して美しさを増す。
月夜に照らされる、2人の影。
私は、はじめと顔を合わせる。
私は動揺を隠せず、あたふたする。
言われるがまま、とりあえず目を瞑る。
目の前が真っ暗で。
怖くて、怖くて、
やだよ。
嫌だ、嫌だ!!!
いつまで経っても何も変化がない。
"開けるよ?"
そう聞こうとした時_
はじめが、私の手を握ったのが分かった。
大きな手が私をの手を包む。
そして、右の指に重みを感じる。
私は、はじめの許可なしに目を開けてしまった。
私ははじめの反応にクスッと笑う。
手元を見ると、キラキラ光る何かが指にピッタリとハマっていた。
涙がとめどなく流れ始めた。
はじめが、微笑んで私の顔を覗き込む。
言葉で表せなほど嬉しくて、
ただただ
目の前にいるこの人と、
この先の未来が、
嬉しくて。
私の揺らいでいる心を読み取るかのようにそう言ったはじめ。
私は泣きながら笑う。
私達は
月が満ちる素敵な暗闇に包み込まれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。