第29話

Dream
2,537
2021/10/17 02:33
















あなた
…ここが、ロンジュンの、いるところ…?
yangyang
yangyang
あはっ、ヒョン顔変なの〜
あなた
や、こんなとこにいるなんて…思ってなかったから…
あなた
え、これ嘘じゃない?
あなた
入って大丈夫なとこ?
yangyang
yangyang
もう、ヒョンは黙ってついてきたらいいの








ヤンヤンが連れてきたのは

僕みたいな人間が入ることは1生で1度もなさそうな 洒落たバーだった。



入口は観葉植物が飾られ、それをオレンジのライトが照らしている。


そして壁には文字が。





あなた
Dream Space…?
yangyang
yangyang
そ、ほら 入るよ。










ヤンヤンは慣れた様子で店に入る。



これ、ヤンヤンがちゃんとした服装の方がいい、って言ってた理由がわかったかも。

そりゃあこんなお洒落なバーにスウェットみたいな服装で来れるわけがない。














店内は薄暗い雰囲気で ゆったりとしたバックミュージックが余計僕を縮こませる。

目立たないようにきょろ、と店内を見回す。


本当に場違いなんじゃないのか、不安になる。








ヤンヤンはまっすぐにカウンターに向かう。

僕もそれについて行き、ヤンヤンの隣に座る。






renjun
renjun
いらっしゃい、
あなた
あ、ろんじゅな…








本当にロンジュンいたんだ…



別人のようにキリッとしているロンジュンから 視線が外せない。


あなたは見蕩れるように ロンジュンをじっくりと観察する。






シワひとつないシャツにきっちりとボタンが閉められた黒いベスト。

手にはトレシーとカクテルグラスがあり、それを手際よく拭いている。








renjun
renjun
御注文は?
yangyang
yangyang
シンガポールスリングで。
renjun
renjun
かしこまりました。
yangyang
yangyang
ヒョンはお酒そこまで強くないよね。
renjun
renjun
じゃあ…私が選んでもよろしいでしょうか。
あなた
あ…はい、








ロンジュンは仕事だからか ヤンヤンにさえ丁寧な言葉を遣っている。



そんなロンジュンにつられ、あなたも敬語を遣う。
ヤンヤンはその姿を見て楽しそうに笑うだけだ。










あなた
なに、シンガポールなんたらって…
yangyang
yangyang
カクテルだけど?
あなた
…僕の知ってるヤンヤンじゃない、、






声のボリュームを抑えて話しているあいだも

ロンジュンは丁寧な手つきでカクテルを作る。







カクテルグラスには 赤みがかったオレンジの液体が注がれる。



そしてそれをヤンヤンの前に差し出す。







renjun
renjun
お待たせしました。シンガポールスリングです。
yangyang
yangyang
ありがとう。






ロンジュンはすぐに作業に戻り、今度は僕のカクテルらしきものを作ってくれる。





すぐにそのカクテルは完成し、グラスには青いカクテルが注がれる。







renjun
renjun
こちら、チャイナブルーです。
renjun
renjun
飲みやすいので ヒョンでも大丈夫かと、
あなた
あ…ありがとうございます…







コリンズグラスに注がれた爽やかな海のような青色のカクテル。



僕の好きな青色で出来たカクテルは見ているだけで気分が良くなる。







1口飲むと、甘すぎないフルーティーな味が口いっぱいに広がる。







あなた
おいしい、、







思わずそんな言葉が漏れる。



するとロンジュンはにっこりと笑みを浮かべ






renjun
renjun
お口にあったようでよかったです。






と落ち着きのある声で言う。










しばらく僕達はお酒を楽しむ。







黙ってカクテルグラスを拭いていたロンジュンは、

最後のカクテルグラスを吹き終えると

カウンターの中から上半身を僕たちの方に近づき、







renjun
renjun
では、話をしましょうか。








と、僕たちだけに聞こえるような声で 囁いた。








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