édificeに戻るが、あなたは車の中から出ない。
いや、動けないのだ。
仕方なく車のシートを倒し、上裸の状態で大人しくあなたは身体を休める。
大変ありがたい。
正直身体中が痛くて本当に死にそう。
出来ればその治療してくれる人早く来て欲しい。
あなたは話すとまた器官を傷める可能性があるから 極力話さないようにしている。
それは全員わかっている事で、誰も
あなたに無視された
なんて思わない。
むしろ、話す方が心配される。
ロンジュンは気まずそうに視線を泳がす。
確かにいつの間にか僕のことヒョン呼びにしてるな…
とあなたは驚いていた。
あなたは恐る恐るロンジュンの名を口にする。
するとロンジュンはパッと顔を上げ、目をきらきらと輝かせる。
あなたは謝ろうとしたが、先手を打たれてしまった。
…威神にはいない感じの厳しいお母さんって感じだな。
と、ぼうっとした頭で考える。
すると丁度そのタイミングで車のドアが開いた。
ジェミナ
と呼ばれた人は笑顔で僕の身体を観察している。
ロンジュンとテンは早く早く、と騒いでいて
ジェミンはそれをうるさそうに聞き流している。
この人が本当に僕を治してくれるのか…?
あなたはジェミンの話し方や雰囲気から少しだけ不安になる。
ジェミンがそう言ったかと思えば、
あなたの腹に手を当て少しだけ力を込めた。
段々とジェミンが触れている部分が熱を持つ。
その熱が 血の巡りと同じように身体中を駆け巡る。
全身がじんじんと熱をもつ。
時間にして、ほんの1分程度。
ジェミンの手があなたから離れると、
あなたの身体の中に溜まっていた熱が
すぅ、
と冷めていった。
あなたはその言葉を聞いて ゆっくりと身体を起き上がらせる。
絶対に自力では起き上がる事が出来なかったほどの痛みを持っていたはずなのに、動くと 少し痛む、という程度の痛みしか残っていなかった。
ぐいっと伸びをしても 痛くない。
声を出しても痛くない。
あなたはジェミンとテンとロンジュンの顔を順番に見て 説明を求めている。
そのままテンは運転席に座り 車を走らせる。
僕の隣にはロンジュンがいて、その隣にはロンジュンにひっつく彼。
まさか、この子も僕と同じ____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!