いつからここは無法地帯になったのだろうか
私の名前は夜桜
政府から命じられ悪人を裁いているしがない剣士だ
ここらはあまり来たことがなかったが、昔剣士になりたての頃一度来た覚えがある
……その時ねずみ小僧と力比べする機会があった
その男は圧巻だった
私だってそれなりに実力はあったと思っていた
しかしあの男は私の攻撃をいとも簡単に避け、剣を使っていないのにも関わらず…私に負けを言い渡した
ーー「若いのに剣の使い方を熟知しているとはな」
ーー「またいつか出会えたのであれば…その時は力比べをしてくれないか」
私が初めて尊敬した大人だった
それなのに…
「ねずみ小僧が死んだってよ」
私は信じられなかった
あの男が死ぬはずがない
しかし江戸の街に来てみれば江戸っ子は皆意気消沈していて…あぁ、ほんとに死んだのか
そう感じた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。