第57話

忘れられない
401
2020/09/23 07:32



あなた side


今日のてっちゃんは何故か元気がない .

その理由を聞くとどうやら恋のお悩みらしい .

片思いか .

私も今は彼氏がいるが以前は好きな人がいた .

今でもその人が忘れられない .

けれど叶わぬ恋だと思い忘れたくて今の彼氏と付き合っている .

その人はカッコよくて可愛くて頼れる存在 .

そんな彼が大好きだ .

撮影が終わったソファに座り片思いソングを聴いてそんなことを思っていると何故か涙が出てきた .

おかしいな…忘れたはずなのに…

けどよかった .

メンバーは買い出しに行っていていない .

いるのはベランダにいる私の好きな彼だけ .

涙が止まらず俯いていると頭に何か感触が .


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あなた「ん?」

て「なにしてんの?」


その感触はてっちゃんの大きな手のひらだった .

あなた「なんでもないですよ」

て「嘘じゃん…いつも明るいから心配になるよ」

あなた「なんかてっちゃんの恋愛相談受けてたら自分の片思いも思い出しちゃって…」

て「そうなんだ…それは今の彼氏じゃないの?」

あなた「違います…最低ですよね彼氏いるのに忘れられなくて泣くぐらいまだ好きなんて」

て「いいんじゃない?そんなに愛してるなんて」

あなた「本当ですか…?」

て「俺は羨ましいよ」

あなた「え?」

て「そんなにあなたちゃんに愛されてるなんて…」

あなた「でもてっちゃんには好きな人いるんじゃないんですか?」

て「…その好きな人ってね?あなたちゃんのことなんだよ?」

あなた「…?」

て「あなたちゃんのこと最近好きになっちゃったけど彼氏できたからさ…もう俺の方が最低だよね、彼氏いる子に告白するなんて」

あなた「最低なんかじゃないです…!」

て「なんでそんなこと言えるの?」

あなた「だって私の好きな人っててっちゃんなんですもん…」

て「は?それは本当?」

あなた「本当です…もう本当に涙が止まりません…」

て「いいよいいよ泣いて…抱え込ませちゃってごめんね」

あなた「私には彼氏がいるので…もう付き合えませんけど幸せな想いをさせてくださってありがとうございます…」

て「俺も…ありがとう」

あなた「てっちゃんのせいで涙止まらないです!」


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て「ほらもうみんな帰ってくるからこれで涙拭いて?」


そう言いてっちゃんがティッシュをくれた .

頭が完全にパニックになっているのに向こうは冷静でこういうところが好きなんだなって実感した .

今日の空はより一層綺麗に見えた .




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