♦︎◇♦︎◇♦︎◇♦︎◇♦︎◇♦︎◇♦︎
お化け屋敷から出て、現在。
気を落ち着かせる為に
俺は遊園地の真ん中にある木製のベンチに座っていた。
俺がお化け屋敷が苦手という事に察せなかったのを
だいぶ後悔していたのか
湊はかれこれ10分位俺の前に立って、
何回も繰り返し謝っている。
そう言うと湊は「だって…」と、
頬を赤く染めながらモジモジする。
ん?何だろ?
……え、可愛いかな?
さっきまで恋人繋ぎして
ズンズン真顔で出口へ突き進んでたクール湊は何処へ?
そんな事を思っていると、
グゥゥゥ…
へ!?
奢ってくれるの!?
なんて優しい彼氏なんだ…およよ…
そう言うと湊は、
背を向けながら軽く返事代わりに手を挙げて
クレープ屋にへと向かう。
仕草がいちいちイケメンなんだよなぁ…
普段はこんな人混み苦手で、
心からこういうの楽しめないけど…
湊が居るからこんなに楽しいって思えるのかな。
そう思っていると、
何これ、ナンパってやつ?
しかも三人も居るし…
とりあえずあしらわないと。
…は?
ヤバい、刺激しすぎた!
目の前に拳が迫ってくる。
う…この距離は避けれない、当たる!
そう覚悟し目を瞑ろうとした瞬間だった。
ガシッ!
そう言うと湊は、
片手で持ってた2つのクレープを俺に差し出す。
俺は返事する間もなくこくりと頷き、
差し出されたクレープを両手で持った。
タタタタッ…
⿻*.· To be continued…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!