学校に着くと昨日と同じように彼の回りにはたくさんの男女が集まってくる。
昨日と違うのは自分の回りに誰もいないこと。
人の関心なんてすぐに薄れるもんなんだ。
大きな声で呼んでくるけどそんな簡単に行けるわけもない。
あんな大人数を掻き分けて入っていく自信なんてないし、立場も違う。
聞こえないふりをしてカバンをあける。
窓際の席で外からよく校門が見える。
晴れた空はとても綺麗で、季節にちょうどあっていて気持ちがいい。
窓の方をずっとみていた私の背後で声がかけられた。
振り替えると、昨日自分の回りにいた子の1人。
髪の毛が長く、くるんと毛先を器用に巻いていて美人だった。
そういってかくんと首を傾げた。
可愛い子は何をしても似合うもんだ、
そういうとパッと顔色が明るくなってにこにこと笑った。
見た目は美人で優しそうな子。
でも、異様に自分の同意に明るくなった顔色が、どうも疑わしく見えた。
そう言ったあとにチャイムがなりそれぞれか自分の席に戻る。
じゃあねㅎ、といいながら手を振られ振り返した。
そのあと彼女を目で追っているとスニョアと目が合う。
目が合ったとき、彼は少し顔を歪ませ口を動かして何かを言ったようだったけど、聞き取れなかった。
どうせ大したことないと思ったから、聞き返そうとしたのもすぐやめる。
特に用事があったわけでもないし、言うこともないはず。
……さっき無視したから本当に言いたいことがあったのかも。
自分がそう気づいて聞き返そうとしたときにはもう先生が教室に入ってきて授業が始まっていた。
大事な用事だったら申し訳ない…
でも時間は止まることもなく進んでいくわけだから今そんなことを思ったって仕方がない。
そう思い、先生の授業を聞くけれども全く頭に入ってこない。
さっきスニョンが言おうとしたのは何だったんだろう、ジホちゃんは本当はなにがしたいんだろう。
そもそも、転校してきてまだ1日しかたっていないのに明日提出の物が終わっているはずがない。
それを手伝えだなんて無理な話なのに、
あぁ、やっぱり私に言いたいことがあるんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。