私と海人はブラブラと街を歩いていた。
どこもかしこもクリスマス仕様になっていて。
赤と緑……鐘やプレゼント……トナカイたちが街を賑やかにしていた。
それだけで、テンションが上がる。
やっぱり、クリスマスは特別だね。
海人が指さした先。
そこには、小さなスケート場があった。
冬だけ臨時で作られているスケート場。
ちょうど大きなクリスマスツリーの下にあって、家族連れや恋人たちが楽しそうに滑っていた。
スケートなんていつぶりだろう。
多分、小さい頃に一回滑っただけで、それ以来やっていない。
でも、楽しそう。
海人がスケート靴の紐を結んでくれる。
今日の海人は優しいな。
そりゃーいつも優しいけど。
今日はいつもより優しい……。
なんだか、本当に王子様に見えてくる。
私はテンションが上がって、靴が不安定なことを忘れて駆け出してしまった。
もちろん、バランスを崩すわけで……。
思いっきりつまずく。
こける……って覚悟したんだけど。
海人に思いっきり腕を引っ張られて。
そして、そのまま海人の腕の中に放り込まれる。
体がフワッとしたような感じがした。
私は海人の腕に倒れ込む。
だけど、海人がちゃんと受け止めてくれた。
海人の甘い匂いがする。
海人が……助けてくれた。
海人が私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
う……わっ!
海人の手の感触が〜〜!!
今日は心臓が休まらない。
ずっとドキドキしっぱなしだよ……。
私と海人はスケート場に足を踏み入れる。
最初は久しぶりだから全然慣れなくて。
何度も転びそうになったけど。
まあ、そのたびに海人が助けてくれたけど。
だんだんと慣れてきて。
あっという間に、私と海人は手を繋いでスケート場をくるくると滑っていた。
私は海人を見る。
海人も私を見る。
繋がれた手が熱い。
それでもお互いに離すことはなく。
ギュッと握っていた。
二人で並んで滑る。
私が海人に笑いかければ、海人も笑い返してくれる。
私が海人の名前を呼べば、振り向いてくれる。
この時間が幸せ。
_____永遠に続けばいいのにな。
私はそう、本気で思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。