第138話

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2019/05/13 11:38
私はゴミ袋を担いで、校舎裏を歩いていた。

ついでにキョロキョロと目線を動かし、人影を探す。

いない……。

後夜祭の方に行ったのかな。

でも、教室には結局戻ってこなかったし。

今……どこにいるの?

海人_____




私はゴミ袋を倉庫の中へ入れる。
みく
よしっ……!
これで仕事は終わりだ。

私はパンパンと制服についたホコリをはらう。

ごみ捨ても終わったし、海人を探そう。

私は……まだあなたに伝えなきゃいけないことがあるから。

だから……。

私は歩く。

もう空は真っ暗だ。

運動場から賑わう声が聞こえる。

もうずく花火が始まる。

この広く真っ直ぐな空に。

この空に咲く花が_____
みく
(あっ……!!!!)
空を見たときだった。

プールのフェンスに寄りかかっている人影を見つけた。

少し高めの身長で。

ズボンのポケットに手を突っ込み。

真っ直ぐに空を見上げている。

そして……

この空に紛れてしまうくらい綺麗な髪。

そうだな……どこまでも深く、一面に広がる。

太陽の光を反射し、キラキラと輝く。

それはまるで……『海』のような。

「海色」の髪をした少年。

私は走った。



____________________
みく
海人っ……!
海人
みく!何でここに……
私の目の前にいるのは、紛れもなく海人だった。

海人がいる。

ただその事実が、私を高揚させた。

同時にものすごい不安に襲われる。

今、私の目の前には、海人がいる。

私だけを見てくれている海人がいる。

伝えなきゃ……。

もう、文化祭も終わる。

これが最後のチャンスなのに……。

どうしようどうしよう……。

全身が震えて、声が出せない。

怖い……怖いよぉ。

振られちゃったら?

もとの関係に戻れなくなったら?

……きっと海人は優しいから、もとの関係に戻そうとしてくれる。

でも、そんなの無理なんだよ。

伝えたら、もとに戻ることなんてできない。

海人との……今までの幸せな時間。

壊したくない……。






でも……

海人
みく……どうしたの?



でも……!
みく
あの……ねっ!
海人……
私は海人を見上げる。

月明かりの下、海人の「海色」の髪はしなやかに靡き、瞳は金色に輝いていた。

君は……

君はね
みく
今日は、文化祭付き合ってくれてありがとう……

君はね、私の前に突然現れたね。

君との出会いは最悪で。

1番人に見られたくなかった光景を見られて。

私は……君のこと苦手になって。

でも……
みく
すっごく、楽しかったよ!

私が人生で一番の暗闇に襲われたとき。

不安で不安で仕方なかったとき。

君が手を伸ばしてくれた____

君が私の不安を一瞬で吹っ飛ばしたんだよ。

本当、どんな人だよ。

でもね……私にはそれが

死ぬほど嬉しかったんだ。
みく
人生で一番の文化祭だった
それから、君は私の悩みを聞いてくれた。

自分の過去を人に話したのは、初めてだった。

君だったから、話してもいいかなって思ったの。

……そしたら、抱きしめてくれたね。

あのとき、心臓が震えたの。

人の温かさを初めて知った。

嬉しいはずなのに……泣きたくなった。

君はバカだね……って。

本気で思っちゃった。
みく
それでね……海人

そして、気づいたら私の周りは、笑顔で溢れていて。

私も自分で気づかないうちに、笑えるようになってたの。

君がいたから、人の気持ちに真っ直ぐ向き合おうって思ったの。

ぶつかり合って、また新しい関係を築けばいいんだって、わかったの。

私の中にはね……

いつからか

ずっとずっと欲しかった

『友達』がいた_____
みく
聞いて欲しいことがあって……

君が私を救ってくれたんだよ。

ずっと、本当は死にたかった。

生きていても辛くて苦しくて逃げたくて。

孤独と立ち向かう勇気が、もうなくなっていたの。

でも、やっぱり死ねなくて……。

私の過去は、人生を呪う日々だった。

そんな……毎日だったはずなのに。

気がつけば、私は願っていた。





____生きたいって。





生きたい。

この世界で、人生で生きていたいって。

君と出会えた、最高の人生を。

君が私に話しかけてくれるから。

君が私に笑いかけてくれるから。

君が私に温かさをくれるから。

……生きていてよかったって。

心の底から思ったの。

ずっと凍っていた心を。

君が溶かしてくれたの。

それは、泣いちゃうくらい……

嬉しいことだった。






そんな君のことがね


私はずっと_______
みく
私は……





____________________


さくらんぼ🍒です!

今回の話は長くなりましたが、読んでくださってありがとうございます!

♥・⭐・フォローがめっちゃ増えて、本当に嬉しいです!

ありがとうございます!

本当、プリ小説大好きです〜💕



さあ、今回もやってきました!

毎回恒例、テスト……………。

今回も少し、お休みします!

すみません……。


テスト終わったら、頑張ります!

コメントいつでも待ってます!

では、続きをお楽しみに〜

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