君の幸せを
いつまでも願ってる_______
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卒業式が終わり、光とハルの想いがやっと通じ合ったとき。
遠くから名前を呼ばれた。
ずっと聞いていなかった、でも毎日聞いていた懐かしい声。
私の大切な家族。
お兄ちゃんが私服姿で私達の方に歩いてきた。
背がまえよりも高くなって、髪もセットして、さらにかっこよくなっていた。
お兄ちゃんは去年の春から県外の大学に通っている。
忙しくてお正月以来会っていなかったから、久しぶりだった。
そして、お兄ちゃんの後ろには愛音ちゃんと先輩もいた。
愛音ちゃんは海人が亡くなってあまり勉強する時間もなかったはずなのに、楽々東大に合格した。
今でもギャルと桃色の髪を貫いていて、楽しいキャンパスライフをおくっているそう。
最近は、お兄ちゃんと頻繁に会っているらしくて……。
昔から仲良しだったけど、こらからの関係が気になるな〜。
先輩はお兄ちゃんと同じ大学に合格し、今では結構仲が良いらしい。
大学でテニスも続けているらしく、この前の大会では優勝したんだって。
これからも頑張ってほしいな。
そんな今を輝く大学生3人組が、私達の卒業を祝いに来てくれた。
みんな遠いのに、嬉しいな。
みんなで楽しく話したり、写真を撮ったりす
る。
みんな笑っていて、楽しくて、楽しすぎて……。
このまま時間を止めたかった。
何度も思った私の願い。
幸せな時間が止まってほしい。
永遠に続けばいい。
そんな叶いもしない願いを、
それでも私は願い続ける……。
私の心臓が高鳴る。
いつだって君の名前は、
私の心臓を震わすの。
お兄ちゃんが愛音ちゃんの背中をベシっと叩く。
はたから見たら、仲良しなんだけどな。
いつか、二人が幸せになればいいな。
私はひっそりとそう思った。
背後から、低い声が聞こえてきた。
みんなで一斉に振り返る。
……そういうことで。
お兄ちゃんの車に、愛音ちゃん、さくや、ハル。
先生の車に、私、先輩、光が乗って。
みんなで海人のところへ向かう。
きっと、みんな揃って海人に会いに行くのは。
これが最後だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。