女の子はプイっとそっぽを向く。
顔が赤い。
もしかして……照れてるのかな??
見た目からして、私とは合わなさそうだと思ってたけど……。
意外と可愛いところもあるんだね。
げ……玄関??
校門を入って、レンガ道を真っ直ぐ進めば、普通にあるんだけど……。
迷うところかな……?
逆に、迷って中庭まで来られたのがすごい……。
なんだか……言い合いみたいになってない?
なんだか……楽しい。
この女の子とは、言葉がどんどん出てくる。
会話が弾む。
さっき出会ったばかりなのに。
ずっと仲の良い友達みたい。
見た目も性格も反対な気がするけど……。
あなたといると、新鮮な感じがする。
女の子は一瞬目を輝かした。
まっすぐに私を見つめる。
あの……黄色がかった目で。
でも、すぐに目をそらした。
この子、よく顔が赤くなるんだね。
そして……小さな声で言った。
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私と女の子は並んで歩く。
本当に……この子は。
そんな純粋な目で見つめられたら。
話すしかないじゃん。
それに……
この子は海人のことも光ちゃんのことも知らないし。
何より……落ち着くから。
私は惨めだ。
海人に選んで欲しかった。
他の誰でもない。
『私』を選んで欲しかった。
選ばれなかったけど……。
それが現実なんだね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!