時間は毎日均等に過ぎていく。
海人がいなくなったあの日も、どんどん遠のいていく。
お兄ちゃん、愛音ちゃん、先輩が大学生になって……。
満開の桜が咲き誇る季節。
春
4月
私たちは高校3年生になった。
光ちゃんとさくやとは今年も同じクラスだった。
光ちゃんと同じクラスだとわかった瞬間、私は泣いてしまった。
こんなに誰かと一緒のクラスになって嬉しかったことは初めてだった。
ハルだけが別のクラスになって。
ものすごく拗ねていた。
そんなハルを、光ちゃんはずっと慰めていた。
そして、私たちのクラスの担任は綾瀬先生だった。
普通に嬉しかった。
「受験生だから気を引き締めるように」と、最初のホームルームでクールに言っていた。
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それからの一年は忙しかった。
とりあえず、勉強をしていた感じ。
まあ、受験生だからね。
それでも、行事には光ちゃんやハルやさくやと思いっきり楽しんだ。
クラスの女の子たちとも仲良くなって。
部活を引退して。
修学旅行にも行って。
みんなで勉強会をして。
充実した高校生活だった。
……どこか寂しいけれど。
季節は巡っていき。
寒い冬を乗り越え。
3月に受験を終え。
明日はとうとう
私たちの学校の卒業式です。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。