私と海人が出会ったのは、学校の中庭。
私が先輩とセックスしているときに、急に現れたの。
初めて人にヤっているところ見られて。
本当に最悪だった。
青い髪の人。
それが海人の第一印象。
それから、海人が私のクラスに転校してきて。
最初は嫌いだった。
女の子にモテモテの海人が煩わしかった。
でも……
夕日に染まる教室。
妊娠したかもって不安で不安で仕方なかったとき。
海人が来てくれたんだよね。
あの日ね。
本当は。
海人のことをヒーローだって思ったの。
涙が跳ね跳んだ世界に、海人がいたの。
海人が差し出してくれた手は。
今でも私の宝物なの。
あの日、海人が手を差し伸べてくれたから。
私は変われたの。
あの日から、ずっと海人のことを見てた。
あの日から、ずっと好きだった。
なんで……
なんで、死んじゃったの?
なんで、もう会えないの?
そんなの、嫌だ。
絶対嫌だよ。
もう……何もできない。
海人との思い出はもう二度と作れない。
手を繋ぐことも、ハグもキスも……
話すことも目を合わせることだって、もう二度できない。
もう二度と触れられない。
そんなの……耐えられない。
こんなに好きなのに、愛してるのに。
もう、何もできないの……?
私の全てを壊したって。
海人は消えてくれない。
今でもずっと……私の心の中には。
海人の温もり、笑顔、匂い、話し方……
全部全部残ってる。
……消えるわけないじゃん。
忘れるわけないじゃん。
私、ずっと海人だけだったんだよ。
私を……
笑顔にする
泣かせる
苦しめる
幸せにする
たった1つの存在なんだよ。
ねえ、海人。
今でもずっと、好きだよ。
ずっと、愛してる。
海人の願い……海人を忘れるなんて、できるはずないよ。
これからどんな願いも叶わなくてもいい。
どんな辛いことだって我慢する。
だから……
もう一度、海人に会いたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!