第92話

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2018/12/31 01:06
私とお兄ちゃんは今までのことを全て話した。





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お母さん
そう……だったの……
話し終わったあと、お母さんが静かに呟いた。


私もお兄ちゃんも黙っている。


まさか、お母さんに話すことになるとは思わなかったな……。


自分の……まだ高校生の息子と娘がセックスしたなんて、ありえないよ。


怒られる。


というより……


見捨てられるかな?















お母さん
お母さんの仕事、助産師でしょ?
お母さんが急に口を開いた。
みく
う、うん
お母さんの仕事は助産師。


出産を助けたり、妊婦さんの検査をしたりするの。
お母さん
毎日、たくさんの赤ちゃんが生まれてる。
お母さん
すごく可愛いのよ……
家族の皆さんもすごく喜んでくれて……
私も一度、お母さんの忘れ物を届けに病院へ行ったことがあった。


ちょうど玄関に退院する家族たちがいて。


大事に、でもしっかり赤ちゃんを抱っこしている父親と。


泣きながら、お母さんと握手している母親がいた。


お母さんも家族もみんな笑ってて。


すごく……素敵だった。
みく
うん……
お母さん
でもね……
お母さん
生まれてこない命、お腹の中で消えてしまう命、生まれてすぐに無くなる命もたくさんあるのよ
みく
……っ!
………
お母さん
私はそれを何度も見てきた。
いくら小さいと言っても、ちゃんとそこに命はあるのに……
私は『命』なんて……考えた?


一度妊娠したかもと思ったときがあったけど。


そのときに一番に考えたのは自分のことだった。



周りに変な目で見られる……学校はどうしよう……父親は?……とか。


赤ちゃんの命なんて、考えなかった。
お母さん
みくや大輝みたいに無責任で作られた命も見てきた。
お母さん
赤ちゃんができるなんて奇跡よ。
すごくおめでたいことなの。
お母さん
だけど……赤ちゃんがいるってわかったとき、その子たちは必ず泣くの……。
私も泣いたな……。


すごく怖かった。


自分で、赤ちゃんなんて大きすぎる現実は抱えきれないと思った。
お母さん
そして、ほとんどの人が生まないの。
お母さん
学生だもの。
いろいろな事情を考えたら、生まないのがベストなのかもね。
お母さん
だけど……
ちゃんと大人になってできた赤ちゃんと、無責任につくられた命の重さは一緒なのよ。
命の重さ……。
お母さん
それなのに、勝手につくった親の都合で命をおとす赤ちゃんが何人もいる。



そっか……。


赤ちゃんには何も罪はない。


ただ、ちょっとした私達の欲求で勝手につくられる。


そして、命をおとす。


私達が殺しているようなものじゃない。


私達だって、命の大切さなんてわかってる。


何度も何度も聞いてきた。


でも、忘れて無責任に命をつくる。




子どもは命を知らなさすぎる。


私達は無責任に命をつくる。


大人は命を利用する。




この世界で命って何なんだろう?


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