海人の視線と私の視線が交差する。
海人が聞いてきた。
教室でうずくまって泣いてるなんて、普通じゃないもんね。
でも、いいのかな。
妊娠……なんて。
ひかれるよ。絶対。
海人はしゃがみこんで私を見つめる。
何故か、海人のあの目を見ると、
あの、綺麗な黄色の目を見ると、
口が動いていた。
私は海人の腕にしがみつき、震えた声で言った。
少し間があった。
ひかれた!?
変だと思われた!?
私はなんとなく謝った。
私は驚いた。
ひかれるかと、嫌われるかと思っていたのに。
海人は、私の頭を撫でながら優しく聞いてきた。
海人の温かい手が優しく触れる。
とても、安心した。
先生なんて言えない。
私が迷っているのを察したのか、それから海人は何も聞いてこなかった。
少し時間がたち、海人が立ち上がった。
海人は走って、教室を出ていった。
何であんなに優しくしてくれたんだろう。
海人の手の感覚がまだ残ってる。
すごく、優しい感じがした。
私はまた顔を埋めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。