第86話

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2018/12/26 08:08
《兄》
(みく……どこに行ったんだよ!?)
ハァ……ハァ……。

息がきれる。

ずっと走った。

走って走って走って。

服も髪も乱れまくって。

汗も垂れてきて。

必死で探した。

みくが行きそうなところ。

図書館……学校……雑貨屋……。

でも何処にもいない。

みく、お願い出てこいよ!

みくがいないと……みくがいなくなったら……。

(だって……俺は!)
……!!!


自分で言いかけて辞めた。


これは……この言葉だけは絶対に言ってはいけない。


世界で俺だけが言えない言葉。


どれだけ願っても言えない。


でも屋上や家で感じた感情とみくがいなくなったらという感情が、この言葉にはぴったり当てはまった。


絶対見つけてやる!


俺はまた走り出す。


もう夕方が終わる。


早くしないと……。


暗い暗い夜がやってくる。





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(本当に何処にもいねぇ……)
あれからもっと広い範囲も探したけどみくはいなかった。 


みくが怖がってたらどうしよう……。


事件に巻き込まれていたら……。


でもこんなに探してもいないんだし。


本当に……。
(俺のせいだ……。)
俺があの時、何も言わなかったから。


すぐにみくを探しに行かなかったから。


というか、もともと彼女なんかつくらなかったら……。
彼女
大輝っ!
えっ……
目の前には彼女がいた。


綺麗にまとめていた髪は乱れていて。


ニーハイソックスは足首まで落ちていて。


顔なんか真っ赤で。


ひと目でわかった。


ーー彼女は走って探してくれてたんだ。
彼女
みくちゃん……家に帰ってきたよ
そ……そうか
よかった……


よかったよかった……


みくが無事だった。


家に帰ってる……。


本当によかった。
彼女
ねぇ……大輝。
何?







彼女は風になびく髪を押さえながら言った。
彼女
別れよう

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