第42話

海人
88,354
2021/01/01 14:39
みく
してない……
私は妊娠検査薬を使った。 

















妊娠はしていなかった。
みく
………っ
よかった、よかった、よかった……‼

妊娠したらどうしようって、すごく怖かった。

不安で。

しかも相手が先生で。

一人で抱えるのがとても怖かった。
みく
んん〜えー…ん
私は泣いてしまった。

緊張の糸が切れた。

涙が次々に溢れてくる。

私は子どもみたいに声を上げて泣いた。
海人
おい、泣くなよ……
海人の困った声が聞こえる。
みく
ぐすっ……怖かったからぁ
海人
大丈夫
お前は大丈夫だよ
海人の「大丈夫」は不思議。

とても、安心するの。

たった5文字でここまで人を安心させるなんて、不思議ね。
みく
ぐすっ……海人
海人
何?
何で、妊娠したかもって聞いたときひかなかったの?

何で、私の頭をなでてくれたの?

何で、走って妊娠検査薬を買ってきてくれたの?

何で、手を握ってくれたの?




何で……私なんかのことを



こんな汚れた……



未来なんてない私のことなんかを……









でも
みく
ありがとう
こんなに心を込めて言った「ありがとう」は初めてだった。

海人が何でこんなにしてくれたのか、わからない。

だけど、すごく嬉しかった。

本当に嬉しかったの。

海人
どういたしまして
海人が近づいてくる。
みく
……っ‼
海人の、あの暖かい手が近づいてきたとおもったら、涙に触れた。

海人の手によって涙がふかれた。

海人
帰ろ
送るよ
海人が歩いていく。

私は海人のガッチリとした大きな背中を見つめる。




ドキンドキン……
みく
(何で、こんなにドキドキしてるの……)
いつも、冷たいくせに……。

たまに、優しいんだ。


みく
ま、待って‼
私は海人を追いかける。

学校。

教室。




海人の青色の髪を夕日が静かに照らしていた。

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