第73話

ハル
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2018/11/24 11:41
《ハル》





俺は家族に捨てられた。










小さい頃、父さんと母さんは離婚した。

母さんの浮気が原因らしい。

俺は母さんに引き取られた。

しばらく二人きりで、狭く暗いアパートに住んだ。

でも、小学4年生のとき。

母さんは俺を捨てた。

もともと、ちゃんと育ててもらってなかったけれど。

いつも男と金ばっかで。

金のためなら、体なんていくらでも捨てていた。

俺がセックスを知ったのなんて、小学3年生のときだった。

俺が、学校から帰って来たとき。

母さんは、知らない金髪の男とヤっていた。

最初は衝撃的だったけど、それが続くと慣れていった。

俺は育つ環境が悪すぎた。

俺は、母さんに捨てられてから1人でアパートに住んだ。

父さんが必要な金は送ってくれた。

でも、なんだか悪い気がして中学3年からはアルバイトをした。

アルバイトと勉強を繰り返す生活。

帰ってくれば、家事もしなければいけない。

ものすごくストレスが溜まった。

自分でも抑えられないストレス。

それを発散する方法を俺は小さいときから知っていた。



セックスだ。




それから、俺は暇さえあればヤりまくった。

同級生の人、バイトの先輩……。

気持ちよくて、何よりセックスをしている時は何もかも忘れられた。

お金のこと、バイトのこと、父さんのこと、母さんのこと……。

間違っている、悪いことだってそんなのわかってる。

でも、やめられないんだ。

それしか、俺を抑えられる方法がないんだよ……。







そんな人生を送っていた俺。

そんな俺も高校生にはなった。

近くの高校に入学した。

今日は入学式。

アルバイトと勉強とセックスだけの学校生活になるだろうな。

そんなことを考えていたとき。
ハル
(何してるんだよ……。)
俺の視線の先に変な女子がいた。

制服からして、俺と同じ高校だ。

そして、この時間にいるってことは新入生だ。

道路の溝に手を突っ込んでる。

何か落としたのか……。

バカだな、入学式から。

俺は変な女子に近づく。

ハル
何落としたんだよ。
女子は座ってるから俺が見下す感じになる。

女子が上を向く。

目が合う。





綺麗な目だな。






黒いダイヤモンド。


純粋な瞳。


俺と違って汚れてない。


天使の瞳、だと思った。
??
えっと……、鍵を
ハル
待ってろ。
見てみると、見事に溝に鍵が落ちていた。

手を伸ばせば簡単に取れそうだった。

案の定、俺が手を突っ込むと簡単に取れた。
ハル
ほら。
俺は女子に鍵を渡す。

女子はそれを受け取った。

そして、俺を見る。
??
ありがとう。
笑顔で女子は言った。



女子の周りがキラキラした。



ピンクのオーラに包まれる。



風が吹いた。



女子の綺麗なロングヘアーが揺れる。



その髪が女子の笑顔をさらに輝かせる。



ダイヤモンドの瞳で笑うと、



あんなに……



かわいいのか……。
ハル
じゃ、じゃあな……。
俺は早足でその場を離れた。



ヤバイ、ヤバイ……。


ドキドキする……。


顔が熱い。


あの女子の笑顔が今でも残ってる。


恋なんて1つも知らない俺でもわかった。


俺はあの女子の笑顔に





一目惚れした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから、あの女子が同じクラスの
「春川 みく」だと知った。




一目惚れの相手。



俺の好きな人。



ただ、俺にはどうしていいかわからなかった。



俺は愛し方も愛され方も知らない。



知っているのはセックスだけ。




だから……















みくの初めてを奪ったんだ。



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