私が高校3年生の6月。
私は海人とともに転校した。
私は海人よりもっと上が狙えると言われたのと校則がないこともあって、都内で一番賢い高校に転校した。
今思えば……海人と同じ高校がよかったな。
海人は普通のどこにでもありそうな高校に入学した。
最初はなんでそこの高校なのか不思議だった。
まあ、家から近いし……。
校風だって、悪くないけど。
それに、海人がなんで転校したのかも謎だった。
疑問を抱えたまま時はすぎ……。
10月
海人の高校で文化祭があった。
私はもちろん見に行った。
海人に会うために行ったんだけど、私は方向音痴だから、迷ってしまった。
……そんな時に出会ったんだ。
_______みくに。
みくは、迷っていた私を助けてくれた。
失恋したと言っていたみくには、なんでか私の本音が話せた。
「大切な人に選ばれなかった。」
それが私とみくの共通点だった。
……このときから、本当は少し勘付いてたのよね。
みくと話していたとき。
海人がやってきて。
私の方なんか見ずに、
みくの手をとって、
私と光の前から消えたとき。
あーやっぱりそうなんだって。
私は選ばれなかったんだって。
あの日。
海人が転校した理由がわかった。
海人は……
みくに会いに行ったんだ。
小さい頃、一緒に遊んでいた。
初恋の女の子に……。
家族なんかより、海人はみくを選んだ。
なんで、あんな子を?
死ぬほど、あの子に会いたかった?
私にはずっと……
なんで海人がみくを選んだのか、わからなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!