「好きや。
ずっとこおしたかったんやで。
ずっとガマンしとった」
「言えば……良かったろ?
オレがやめとこうって言ったの、泊まりだけ、だったんだし」
「ストイックなあなたに、嫌われとうないし、我慢が効かないって思われるんも嫌やったし」
「オレが強がってるって、察してくれよ?
オレ、そんぐらいオマエが欲しくて」
「そんなんわからん。
2度も所有の印、ねだるから……まだなんや、って」
どんだけガッカリしたと思う? って言いながら、消えたアザの辺りを撫でて、乳首をつねってきた。
当たる爪の硬さに、痛みと快感が全身を駆け巡る。
普段と違う。
日常の優しさと違う。
嵐のようなカレの激情。
カレは指でオレの後ろを確認してくる。
挿れても大丈夫か、探ってる。
ローションを、穴にも、カレ自身にもまぶし……馴らす間もなく、すぐに挿れてきた。
指なんか比べものにならない質量。
1番違うのは、熱。
その熱さとキツさにオレの声があがる。
でもカレは一切ゆるめない。
オレは、事前に少し解しといて良かった、って思う。
こんないきなりじゃ傷付いてもおかしくない。
全てを納めて初めて、カレは、は、あ……って声を出した。
んっ、んって声を漏らしながら、カレが大きく腰をグラインドさせ始めるから、オレはもう何も話せない。
オレの肩をつかんで体が逃げないように固定させ、全身を揺さぶられるから、あっああって、声が出る。
オレのペニスは、ふたりのお腹に挟まれて擦られる。
その存在に気付いたカレが、動きに合わせてしごいてきたから、もう悦びしかわからなくなる。
全身が下半身だけになったみたいだった。
気付くとオレは、後ろから抱かれてた。
途中何度か体位を変えてたのはわかってたけど、爆ぜてからはもう何をされてるか、わからなくなってた。
そういえば最後は、後ろからメチャクチャ突かれてた気がする。
まだカレが居座ったままの後ろは、激しい摩擦で少しひりついている。
乳首も固く勃ち上がったまま。
心臓の鼓動に合わせて、全身がどくんどくんと脈打っていた。
「おい……?」
後ろのカレに小さく声をかけたが、返事は無い。
かわりに深い息遣いが聞こえた。
……寝ちゃってる?
オレも意識を飛ばしてたんだから、どっちもどっちか。
だけど、オレを抱くカレの腕は少しもゆるまない。
いつの間にかオレは、熱い感情に包まれていた。
セックスの激しさに反比例して、オレの心は穏やかだった。
なのに、何だろう、この熱い気持ちは。
本当にこの先、どんな事が起こるかわからない。
どんなに激しく求め合っても、壊れてしまう関係なんか、いくらでも見てきた。
それでも。
オレは今日を絶対に忘れないよ。
我を忘れてオレを求めたオマエを。
オマエに与えられた痛みも、悦びも、絶対に何もかも忘れない。
オレは、この先オマエがオレを憎んで拒否する事があっても、全部許すよ。
許せるぐらいオマエはオレを愛してくれたよ。
だけどね、だからこそ。
今日よりも明日よりもずっと未来まで、オレはオマエの隣に並んで、生きていきたいよ?
そして、許される限り何度も。
何度でも。
オマエとこうして体を繋いでいきたいよ。
ふいに、定番の誓いの言葉が、胸に湧いた。
富めるときも貧しきときも。
病めるときも健やかなるときも。
キミを愛し敬い。
オレは、背中に響くもうひとつの鼓動を感じながら、心に誓った。
オレたちはきっと。
ずっと。
共に生きていこうな。
〈〈完〉〉