第97話

一択
1,403
2020/10/02 12:45



ピッピッピ……





鳴り響く心電図音



静まり返る病室



みんなが囲むベッドの中ではあなたは眠っていた










京本 大我
京本 大我
あなた……
髙地 優吾
髙地 優吾
大丈夫 あなたなら大丈夫だよ
京本 大我
京本 大我
そうだよね……











あなたの体に繋がれたたくさんの管



痛々しさを表す無数のガーゼ



そんなあなたの姿に



誰も言葉を発することは出来なかった





コンコンッ










ジャニーさん
失礼するよ
松村 北斗
松村 北斗
ジャニーさん……
ジャニーさん
話は全部聞いたよ











そんな空気を温めるようにやってきたのは



事務所の社長



そしてあなたを拾った仮の親であるジャニーさんだった











ジャニーさん
不運な事故だったね あまり自分を責めるんじゃないよ
田中 樹
田中 樹
……
ジャニーさん
守れなかった苦しみがあるかもしれないが、今一番苦しんでいるのはあなたなんじゃないのかね
田中 樹
田中 樹
えっ……
ジャニーさん
そんな顔してたら、あなたが悲しい思いをするよ











そういって樹の肩に手を置くジャニーさん



樹はそのジャニーさんの手から



かすかではあるが温もりを感じ



今までの気持ちを優しく包んでくれるような感じがし



どこか助けられたような気がした










ジャニーさん
それから、これからの活動のことだが











そして続けざまに話し出したジャニーさん



その言葉を聞いたメンバーは



どこか覚悟したような表情で



ジャニーさんの方へと体を向けた










ジャニーさん
明日、この事故とあなたの状態について、HPで事務所から正式に発表する あなたも目が覚めてから体調が回復するまでは、一時活動休止という形とする SixTONESの活動はどうするかね?











"SixTONESの活動"



その言葉が心電図音とともに病室に響き渡った



メンバーの耳にはしっかりと届いているが



その答えを出すまでの処理に間に合わなかった



みんな黙り込み なかなか答えを出せないでいた



あなたを眺め 自分たちはこれからどうすべきなのか



彼ら自身の中でそれぞれ答えを探していた



その様子を見たジャニーさんは



病室のドアへと向かいながら



呟くように言葉を放った










ジャニーさん
あなただったらどんな答えを出すかね……? 私は一択しかないと思うが











そう言って病室を出ていくジャニーさん



答えを出せないでいたみんなの脳には



ジャニーさんの言葉が矢のように飛んで入ってきた



"一択"



その一択が何なのか



彼らの脳はさらに混乱状態へと陥った











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