第47話

俺は……
1,928
2020/07/17 14:13



食事を済ませ お店を出た2人



外は小ぶりの雨が降っていた









松村 北斗
松村 北斗
今日はありがとな
髙橋 海人
髙橋 海人
こちらこそ!ありがとうございました
松村 北斗
松村 北斗
じゃあ、気をつけて帰れよ
髙橋 海人
髙橋 海人
はい!










2人が別れようとしたその瞬間



前からやってきた人に気づかずにぶつかってしまった










髙橋 海人
髙橋 海人
あっ、すみませ……あなたちゃん!?
松村 北斗
松村 北斗
え?
あなた

ご、ごめんなさい……











ぶつかった相手が海人と気づいた時



すぐにその場から去ろうとするあなた



だが 海人に掴まれた手によって



男性の力には適わず



その場から逃げることは出来なかった









髙橋 海人
髙橋 海人
どうしたの?傘もささないで
あなた

か、傘は持ってなくて……

髙橋 海人
髙橋 海人
でも、目が赤い 何かあったの?
松村 北斗
松村 北斗
俺らで良ければ、話聞くけど……
あなた

今は、1人になりたいんです……











なかなかあなたの腕から離れない海人の手



下を向くばかりのあなた



その様子を眺めているだけの北斗



雨の降る音だけが響いていた









あなた

は、離してください……

髙橋 海人
髙橋 海人
約束して 今度、絶対にこの状況を説明するって
あなた

……












返事をしないあなた



その様子を見かねた海人はため息をついた











髙橋 海人
髙橋 海人
ちょっと落ち着くために店に行こ 北斗くんも
松村 北斗
松村 北斗
あぁ










海人が北斗の方を見て気が抜けた瞬間に



海人の手から抜けるあなたの腕










髙橋 海人
髙橋 海人
あっ……
あなた

大丈夫です ちゃんと今度説明しますので……












その言葉と共に雨の中消えていくあなたの姿



あなたの温もりをまだ感じる海人の手に



だんだんと冷たい雨が降り注いでくる










髙橋 海人
髙橋 海人
俺、またやってしまった……
松村 北斗
松村 北斗
大丈夫 あなたが説明してくれるのを待とう
髙橋 海人
髙橋 海人
俺、全然ダメですね笑 あなたちゃんをあんな風にしちゃって……
松村 北斗
松村 北斗
いや、海人なりの優しさが出てたと思うよ あなたもさっきは気持ちが複雑だったっぽいし
髙橋 海人
髙橋 海人
やっぱ俺は、あなたちゃんにとっての重要な存在なんかじゃないのかな……笑
松村 北斗
松村 北斗
いや、そんなことねーよ
髙橋 海人
髙橋 海人
気使わなくて大丈夫ですよ笑 それじゃ……











軽くお辞儀をして帰っていく海人



その後ろ姿は 先ほどのあなたと同じように



悲しみのオーラに包まれているようだった


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