昨日同じ道を帰ってきたはずなのに
全然違う世界と見える街
そして その街がすごい勢いで通り過ぎていく
マネージャーさんの運転がいつもより早いのだろうか
そう言われて看護師に案内されたのは
昨日も来た手術室
彼らはその場所が手術室だと気づいた途端
いい知らせではないことに気がついた
それから数時間後
手術室から出てきたのは 担当医である医者と
ベッドで横になって運ばれる昨日と同じ姿のあなた
昨日よりもさらに管が増えた気もしなくはなかった
そう言って案内されたのは
先生の部屋とも言える診察室
その奥からでてきた先生の手には
沢山の資料とレントゲンがあった
医師の言葉が 針のように響いた
"後遺症"
その言葉がどれだけ不安を広げるか
彼らはもう何も理解できなかった
そんな中 弱い力で樹が口を開いた
1番みんなが気になっていた事
早く意識が戻れば 色々なことが早く分かる
意識がなかなか戻らなければ 彼らの不安が大きくなる
究極の選択となったこの状況の中
彼らの不安は 医師の言葉へと託された
医師からの説明を全て聞き終えたみんなは
重たい足取りであなたの病室へと向かった
相変わらずあなたはたくさんの管に繋がれ
深い眠りについていた
そんなあなたの姿を見るのが耐えられなかったのか
目に涙をためた樹は
メンバーの顔を見ることもなく
颯爽と病室から出ていった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!