第101話

大きくなる不安
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2020/10/09 11:19



昨日同じ道を帰ってきたはずなのに



全然違う世界と見える街



そして その街がすごい勢いで通り過ぎていく



マネージャーさんの運転がいつもより早いのだろうか











松村 北斗
松村 北斗
あなたっ……!!
髙地 優吾
髙地 優吾
あの、柳田あなたの様態が急変したって聞いて……
看護師
落ち着いてください ただ今ご案内します











そう言われて看護師に案内されたのは



昨日も来た手術室



彼らはその場所が手術室だと気づいた途端



いい知らせではないことに気がついた










それから数時間後



手術室から出てきたのは 担当医である医者と



ベッドで横になって運ばれる昨日と同じ姿のあなた



昨日よりもさらに管が増えた気もしなくはなかった










森本 慎太郎
森本 慎太郎
先生……あなたは大丈夫なんですか……?
医師
場所を変えてご説明致します こちらへどうぞ











そう言って案内されたのは



先生の部屋とも言える診察室



その奥からでてきた先生の手には



沢山の資料とレントゲンがあった











医師
まずあなたさんは脳挫傷のうざしょうという、頭部への強い打撃による障害が起こっていました
松村 北斗
松村 北斗
それって……
医師
はい 打撃の強さにもよりますが、あなたさんに何らかの後遺症が残る可能性が高いです
森本 慎太郎
森本 慎太郎
え、それは治せないんですか?
医師
まだなんとも言えませんが、後遺症の状態にもよりますね
京本 大我
京本 大我
そんな……
医師
全てはあなたさんが意識を戻してからではないと、こちら側としてもなんとも言えません











医師の言葉が 針のように響いた



"後遺症"



その言葉がどれだけ不安を広げるか



彼らはもう何も理解できなかった



そんな中 弱い力で樹が口を開いた










田中 樹
田中 樹
意識って、どのぐらいで戻るんですか……?










1番みんなが気になっていた事



早く意識が戻れば 色々なことが早く分かる



意識がなかなか戻らなければ 彼らの不安が大きくなる



究極の選択となったこの状況の中



彼らの不安は 医師の言葉へと託された










医師
今は術後ということもあり麻酔が効いているのですが、麻酔が切れるのが大体30分~1時間後程度です 意識が戻るのは個人差がありますので、なんとも言えませんね
田中 樹
田中 樹
そーですか……











医師からの説明を全て聞き終えたみんなは



重たい足取りであなたの病室へと向かった



相変わらずあなたはたくさんの管に繋がれ



深い眠りについていた



そんなあなたの姿を見るのが耐えられなかったのか










田中 樹
田中 樹
悪い……俺帰るわ……











目に涙をためた樹は



メンバーの顔を見ることもなく



颯爽と病室から出ていった











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