第65話

忘れられない味
1,647
2020/08/09 10:18





無事に収録も終わり



あなた以外のメンバーが着替えをしていた時だった











森本 慎太郎
森本 慎太郎
なんで北斗はあなたが今日誕生日だって知ってたの?











今日のサプライズを北斗が提案したことに



どこか違和感を感じた慎太郎が



北斗にこんな事を聞いてきた










松村 北斗
松村 北斗
今日の収録でジュニアを紹介するコーナーがあって、あなたがそれに出たんだけど、その事前準備のプリントを見たんだ
森本 慎太郎
森本 慎太郎
ふーん そっか











疑問に思っていたことを聞いてきた慎太郎だが



質問の返事を聞いた反応に北斗はどこか疑問を抱いた










ジェシー
ジェシー
どーしたの笑 急に
森本 慎太郎
森本 慎太郎
いや、2人ができてんのかと思ったからさ笑
松村 北斗
松村 北斗
は?











突然の慎太郎の発言に大きく反応した北斗



だが大きく反応したのは北斗だけではなかった










松村 北斗
松村 北斗
別に誕生日を知ってるだけでできてるとは限らねーだろ
田中 樹
田中 樹
そーだよ
京本 大我
京本 大我
ないない
髙地 優吾
髙地 優吾
ビックリしたー
森本 慎太郎
森本 慎太郎
なんだよ みんなして
松村 北斗
松村 北斗
いいからさっさと着替えろ











黙々と着替えていた北斗が先に着替え終わり



楽屋へと戻った











松村 北斗
松村 北斗
あれ、まだ帰ってなかったの?笑
あなた

なんか、挨拶もなしに帰るのは申し訳ないかなと思ったので……笑












楽屋に戻ると あなたは1人でソファーに座っており



みんなとお揃いのブレスレットを眺めていた



北斗は自分の荷物を片付けていた時



ソファーに座っていたあなたが独り言のように話し出した










あなた

私、初めてだったんです こんなに豪華に誕生日を祝ってもらったこと いつもは"おめでとう"と言葉をかけてもらうだけで、ケーキを食べることもこんなに素敵なプレゼントを貰うこともなかった












そう言いながらあなたは



みんなから貰ったプレゼントを眺めた



北斗は声しか聞いていなかったが



あなたの言いたいこと、伝えたい想いが



声だけでも伝わってきた










松村 北斗
松村 北斗
お父さん、"おめでとう"は言ったんだ











北斗がそう言うとなんの反応もしないあなた



一瞬"やってしまった……"と思った北斗だが



あなたはそんな北斗に向かって強くあたることはなかった










あなた

前の家族の時です 母が再婚する前の

松村 北斗
松村 北斗
前……
あなた

約2年という短い間だったけど、楽しかった思い出は未だに記憶にあるんです

松村 北斗
松村 北斗
そっか
あなた

でも……












言葉を詰まらせながらも話を続けようとするあなた



北斗は心にどこか痛みを感じたが



あなたのことをもっと知りたいと思うと



なかなか口や体が動かなかった










あなた

1度だけ再婚した後に祝ってもらったことがあったんです 新しい父に会いに行く日が丁度私の誕生日で、お祝いにご飯を奢ってくれたんです……笑

松村 北斗
松村 北斗
ご飯を?
あなた

はい笑 母が"娘が今日誕生日だ"って言ったら、"プレゼントを用意してなくてゴメンね、今日は私の奢りだよ"って そりゃあ知らなかったら用意なんてできないですよね笑

松村 北斗
松村 北斗
まぁな笑
あなた

でも、あの時のご飯は忘れられないなぁ

松村 北斗
松村 北斗
何を食べたの?その時
あなた

ハンバーグです笑

松村 北斗
松村 北斗
ハンバーグ?
あなた

はい笑 新しい家族と行った最初で最後の外食である、有名ファミレス店のハンバーグです笑












何を言っていいかわからなくなった北斗



誰でも簡単に食べに行けるようなお店



そのお店の料理が忘れられない味



あなたがどれほど辛かったのか伝わってきた気がした



そして 北斗が勇気を振り絞って放った言葉は……










松村 北斗
松村 北斗
それは"特別"だね











だった

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