第3話

Two
245
2022/08/13 23:23
???
はじめまして。“ほしづき なぎ”と言います。今まで家の事情で来れていませんでしたがこれからよろしくお願いします。
今はホームルーム。教卓の前に立っているのは昨日の色素が薄めの髪を肩で切り揃えたあの少女だった。彼女のお辞儀に合わせてさらりと髪も揺れる。指示された席__僕の前の席__に座る彼女の姿がやけに目に映った。
教師
この学校には入学したものの先ほどの話にもあったように家の事情で来れていなかった星月だ。仲良くするように。ではホームルームを終える。
それだけ言うと担任の教師は教室を出て行く。いつものように、またぼーっと窓の外を見ていると
星月 なぎ
昨日、会った人、だよね?“みずうみ いっせい”君っていうの?
急に話しかけられて変な声が出そうになるのを抑え、訂正する。
瑞海 一星
昨日会ったっていうのは合ってるけど僕は瑞海 一星みずみ いちる。“いっせい”って書いて“いちる”って読む。
ふーん。いちる君か。
そう呟く彼女を見ると、彼女…星月さんはニコッと微笑んだ。なんだかその笑顔の意味が掴めなくて僕は机にうつ伏せになった。
星月 なぎ
あ、一星くん。
放課後。その声に振り返ると星月さんが居た。ここは弓道場。僕は弓道部に所属している。部員は3年生の先輩4人、2年生の先輩2人と僕。廃部の危機と言われている。男女比は4、3と半々くらいだ。
瑞海 一星
星月さん。見学?
星月 なぎ
ううん。入部届け、出したの。
自分で言うのもなんだが、かなりの珍しい物好きだと思う。
星月 なぎ
ということで、よろしくね。
また、彼女は微笑んだ。

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