目の前には...
「テテっ...」
そう言葉にした瞬間、急に現実に戻されたようにそこら中から叫び声が聞こえる。
"テテーーーーーーっ!!"
自分を見ていた...。自意識過剰にも程がある。あるわけないじゃんともう一度顔を上げると
「え、...」
まだテテはそこにいて、やっぱり私の方を見ているような...。確かめたくて
「私?」
と自分を指さすとニコッと笑って何度か頷いてくれた。
「うそ...」
その後のことはあまり記憶がなくて...気づいたらARMYTIMEでみんなが声を揃えて掛け声をしていた。
《ほんとこの席やばいよ》
「ほぼ記憶ないんだけど」
《あんたほぼ放心状態だったもん笑》
「そうだったんだ」
また会場が揺れ動くほどの歓声が起こると目の前に登場するメンバーの姿。
"みなさんありがとごじゃいまーす"
と最後のMCがはじまる。
🐨みなさん今日はどうでしたか?
きゃぁぁぁっーーーーと会場が湧く。
🐥たのしかたですね
🦄そうでしゅね、ブイさん今日はすごい楽しそでした!
🐯ぼくですか?!
テテの声が聞こえてドキッと胸が高まった。
🐯armyのみんなが可愛くて
🐰かわいいarmyおおかたですね〜
🐯可愛くて何度も近くに行ってしまいました
🍴おおブイさん。さてはここら辺かな??
と近づいてくるジンくん。そしてまたもやジンくんと目が合って...
🍴かわいいこがおおいでしゅねーー
と言うと周りの子が前へ前へと押してきて...
叫ぶものだから柵とarmyに潰されそうになると
🐯あーーあぶないよ!!
とテテがこっちに来て
🐯押さないであげて、まえのこが危ないから
とまたテテと目が合う。
🐯ケンチャナヨ
とイヤモニを外してマイクを遠ざけてほんとに私に言ってるかのように聞いてくる。
うんうんと頷けば
🐯やっぱりarmyは可愛いですね〜
とステージに戻る。きゃぁぁぁとまた会場が湧いて、私の周りの子は"今テテと目あったよ!!"って騒いでて...
まぁ、現実はそんなものよね。そう思い最後までライブを楽しんだ。ライブの終盤曲を全て歌ってメンバー達が開場中を歩き回る中、やっぱりテテは私の目の前のステージにしゃがみこんで手を振っている。
"テテーーーーはーーとーー!!"って周りの子が叫ぶけどテテはにこにこ笑って手を振ってるだけ...
もう会えなくなる...こんな席...もう二度と...ない。恥なんてかいてられない、そう思い私も精一杯声を出してみた。
「テテっ!!!」
みんなの叫び声が大きすぎて聞こえるはずもない私の声にテテは...すぐ反応してくれて...
目を大きく見開いて私の方を見るとこっちまで歩いてきてくれて耳を傾けるポーズをしてくれる。
え...うそ...私...そう思いながらもこんな機会滅多にない...。頑張って声を出してみる。
「大好き!!!」
って叫べばマイクを持って
🐯さらへよ
と言ってくれる。私なのかな...ってこんなの期待しちゃうじゃん…。
すると
🐨ブイさーーん
って呼ばれてバイバイと手を振りながら後ずさりするから
「テテーーーー!!また会いに来るねー!」
ってもう一度叫べば
クシャッと笑って
🐯すぐ会いにいきましゅ
この言葉はまたライブをしてくれる。ほとんどのarmyさんはそう捉える。いや、それしかない。
こんなことが起こるなんて夢だよきっと。
"会いに来るって言いましたぼく____________"
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!