午後4:17
パチュリーに連れられて来た先は、とある本棚の前だった。
パチュリーは、その中から厚さ7cmの本を1冊取り出し、机に置いた。パチュリーは、そこからP64を開き、凛々に見せて来た。
そして、1番右上の文の最初に、少し小さな人差し指を置いた。
「西暦前、世界に伝染病がやって来た。
しかし、それは伝染病と言うには視覚的で、かつ、とても残酷な悲痛と叫びを生で実感出来る程であり、とても病気とは言えなかった。
紫のダウンバーストとも言える、捕食するアメーバの様とも言える、あの霧。触ると、たちまち皮膚の凹凸は乱高下し、そこから血が出ては、皮膚が絞られ腐敗していく。
「毒」と言うには、また違う捉え方が出来そうなのである。成分等も無く、ただ人が死んでいく様を見ているだけであった。
だが、何故その毒とも言えず病気とも言えない、その新しい何かは、今は、無いのか?
それは、この魔法などと言ったとても興味深い中へと入って行くのである。
その新しい何かは、儀式によって無くなった。
とある勇敢な男性が、神様へ祈りを捧げ、その何かを消し去ったのである。
その後、男は儀式の生贄となり、死んだ。」
凛々には、分からない言語を、パチュリーが翻訳をして、説明してくれた。
「、、じゃあ、何だよ、?この解明されていない毒は、人が1人死ななきゃ収まらないって言いたいのかよ?」
魔理沙は一言。
そう質問した。
「、、、えぇ。解明する時間が残されていないのでね。」
パチュリーは、そう答えた。
人を殺す。
凛々にとっては、自分が今まで見てきた事の中で、とてもいっぱいいっぱいなのである。
それにしても、この図書館。
沢山の本棚が飛んだり移動したり、何処からそんな魔力が放出されているのだろう?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。