私は 藍沢 あなた(あいざわ あなた)
今日
4月18日
18歳になった
悩みがないなんて言われる18歳
一番楽しい時なんて言われる18歳
何も考えなくていいなんて言われる18歳
楽なようで
楽じゃない
私はそんな、18歳になってしまった
小さい頃から周りにはたくさんの人がいた
あなたちゃん!
あなたちゃん!
あなたちゃん!
みんな口を開けばそう言う
最初は嬉しかった
私は恵まれてる
本気でそう思ってた
なのになんでだろう
ある日を境に何も信じられなくなった
トイレを済ませ
教室に戻り
自分の席に着いた
その時
私の机の下に小さな紙が落ちていることに気づいた
興味本位で開いてしまった
「最近あなたマジでウザくね?」
『夏海も思ってた!なんかウザイよね!』
「綾乃と夏海はやっぱ気合うなあ!」
『ね〜!!!』
「これからは2人で遊ばない!?」
『いいね!それ!』
「てか!私あなたのことこの世で1番嫌いだわ」
「嫌いな人ランキング作るから夏海も書いて!」
『わかった!!!』
「綾乃 夏海
1 藍沢 あなた
2 藍沢 あなた
3 藍沢 あなた
夏海はー!!! 」
『3位まで入るとか最高じゃん!』
『綾乃 夏海
1 藍沢 あなた 1 藍沢 あなた
2 藍沢 あなた 2 藍沢 あなた
3 藍沢 あなた 3 藍沢 あなた
夏海はー!!! 当たり前よね?』
「やっぱり???なんかキモいしね!」
『それ!消えてほしい!』
ずっと羨ましいと思ってた可愛い字で
埋め尽くされた可愛いメモ用紙
見た瞬間絶望を感じた
もしかしたらこういうドッキリかもしれない
そんなふうに思って綾乃ちゃんと夏海ちゃんに聞いてみた
ドッキリなんかじゃなかった
あの頃の記憶が蘇る
3年前
小学1年生
毎日会う度に
死ね
カス
ゴミ
消えろ
お前なんか要らない
学校来んな
数々の暴言を吐いてきたあの子
先生に相談しても無視されて
挙句の果てには
自分でどうにかしなさい
もうどうしようも無くて学校を長い間休んだ
もう大丈夫だと思ってたのに
ずっと仲良くしてきた子にされた事がショックで
その時から友達なんて人が出来なくなった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。