第7話

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2022/07/26 21:00




“もしもし?どしたん?“




3コールもしないうちに出てくれた彼女に、なんと言えばいい?


昨晩もう関係を切るって約束したのに、翌日にこんな不甲斐ない報告を誰ができる。


口が開かない。申し訳なさと情けなさと自分のろくでなし具合にすっかり呆れてしまう。


言わなければ、バレない。会社内の出来事だし、南と紗夏に繋がりはないから。


選択肢はふたつ。


ここで素直に白状して罰してもらうか、隠し通してずっとこの背徳感を背負っていくか。


...ヘタレな私には、こんな申し訳ない事を隠せる程の気概はない。


なけなしの勇気を絞り出して出た言葉は、昨日と変わらない、たった一言だった。




あなた
……………ごめん…
何が、あったん?
あなた
…キス、されて……抵抗、できなっ…かった…
……そっか。今どこおるん?
あなた
会社…会議室…
…分かった。外、出といて
あなた
...え...っ?




































南side___





“なぁ、そろそろ心痛いんやけど“




仕事中。休憩時間間際というそのタイミングでかかってきた着信は、とある人間の浮気相手からだった。







南
ええやん、好きなんやろ?あなたのこと
紗夏
紗夏
やけど、こんなん流石に…
南
利害の一致。抱かれて喜んでる時点でそんなん言えんからな?
紗夏
紗夏
まぁ…それは、そうなんやけど
南
…まぁ、終わりにしたきゃ終わりにしてくれてもええんやけど
南
でもそれだとちょっとなぁ…つまらんやん
紗夏
紗夏
…紗夏、一番やばいのみーたんやと思うわ...笑
南
とりあえず。やめるにしてもやめないにしても、昨日言ったことだけはやっといてくれん?
紗夏
紗夏
...無理矢理キスするってやつ?
南
うん。自分からより他人からの方が後悔するタイプやから、あなたは。
紗夏
紗夏
ぅ〜...わかっ......た...
南
...ありがと、さーたん




先日、恋人のあなたから告げられた浮気の事実。


向こうは私が知らないとでも思ってたんかな、さーたんを嗾しかけたのは私だって言うのに。




初めて自分の性癖というか、あなたの一番好きな表情を見つけたのが、今から約二年前のこと。


あの時は浮気なんてなく、ただただ幸せに過ごして、そういうこともほぼ毎晩していた。


そんなある日。明らかに様子がおかしいあなたが私の首に腕を回して、一言小さくボソっと謝罪の言葉を口にした。


どうしたの?と聞けば、告白された挙句、そういう雰囲気にまでなってしまった、と。


直後に焦ったようにでも本番までは行ってないし、ちゃんと断ってきたから!なんて弁明をし出したあなた。


正直、私としては気分が良かった。


告白されても、雰囲気に流されず私の元へ帰ってきてくれたことも。


自分の認めた好きな人が、他人からも好かれるほどの人格者で、誘いたくなるほど魅力的であるという事実も嬉しかった。


その日の夜、私の何かが目覚めてしまった。


申し訳なさそうにするあなたが可愛くて、物凄く愛しく思えて。


その晩、上書きさせて、なんて言って私に覆いかぶさったあなたの表情が…私の何かを壊した。


申し訳なさそうにするのに、私の素肌にぎらついた目をするその表情が。


申し訳なさそうなのに、それを忘れたいが為に激しくしてくれるあなたの全てが、凄く愛しくて、その目を見る度何かが溢れてきて。


これが、快感なのかと。


これが、気持ちいいということなのかと。


本能のままに私だけを求めようとしてくれるあなたに、高揚感を覚えてしまって。


あの日のあなたの目と言葉と、全てが私を燻ってきて、それからの行為にあまり達成感を得られなくなってしまった。


勿論あなたのテクニックは一般的に見てもかなりのものだと思う。


だって気持ちいいし。普通に濡れちゃうし、なんなら一回じゃ物足りないくらいだけど。


普段の優しい行為も嫌いじゃない。けど、もっと刺激が欲しいと思ってしまうことが多くなった。


だから、私は少しの申し訳なさを感じながらも、さーたんの気持ちを利用させてもらった。


あなたは気付いてないけど、実はさーたんは私達と同じ大学出身。


あなたは学部が違ったからか知らなかったみたいだけど、私とさーたんはサークルが同じでよく話していた。


その頃から私は気付いてた。さーたんがあなたに好意を寄せていることを。


だから、利用させてもらった。


昨日...約1年ぶりに、あなたに触れてもらった。


もうそれだけで、かなり身体は悦んでいたのに。


何度も他の人...さーたんで研究されたあなたの触れ方や、責め方に自分でも制御出来ないほどの快楽を覚えて。


昨日の夜は、あなたの心苦しそうな笑顔を見て意識を飛ばした。それしか覚えてない。


ただその笑顔が脳裏に焼き付いていて、顔には出さなかったものの朝あなたを起こす時も正直危なかった。


穏やかな眠りについている彼女が、昨日はまるで野獣のように私を求めてくれたこと。


それが、どうしても私の中心を震わせて。


約1年の我慢と、彼女の開発。きっとそれは大成功と呼べる。


この1年、一人でする事もせず、我慢した。


それは全て私の欲するあなたの為に。


あなたを私しか見えなくする為に。


…私の思い通りに行き過ぎて、仕事中だと言うのにニヤケが止まらない。


私への罪悪感からあそこまで弱々しくなっているあなたが、狂おしいほどに愛しい。


ごめんと涙目になりながら謝るあなたのあの表情が、私を昂らせてくる。




これでも有能な方。今日の分の仕事はとっくに終わらせてある。


上司と後輩に挨拶をして。職場を離れ、車へ乗り込んで。


あなたの香りが染み付いたぬいぐるみを抱きしめてから、アクセルを踏み込む。









南
…待っててな、あなた...今行くから……



























Fin......?










































一応これで終わりなんですけど、リハビリ程度にこの次🔞書こうかなって思ってます。


このまま微ヤンデレみーたんで終わりの方が良ければそうします、アンケートぽちってくださいお願いしまっ!

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🔞
ALI
93%
NASHI
7%
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