テヒョンside
2023年1月23日
AM5:45
引き出しに手を掛けたまま
開く事なく動かなくなった俺のウサギ。
最後の引き出しを開けたら
俺たちのクリスマスがやっとで来る。
もう優にクリスマスを1ヶ月弱過ぎてるけど、、
なんなんだ。
引き出しに手を掛けたものの
なかなか開けようとしない俺のウサギ。
それを開けないと
俺達のクリスマスが来ない。
クリスマスは疾うの昔に終わっている世間とのズレが
もっと拡がる。
そのうちに今年のクリスマスが来たらどうする?
サンタはリボルビング払い。
去年のプレゼントをもらってなくても
それをプールしてはくれないんだぞ?
な? おまえも世界と繋がりたいだろ?
早く開けてくれ、、
引き出しの隣にいる クリスマスツリーは
オーナメントが かすかに揺れて
最後のオーナメントが揃うのを
さっきからずっと 待ってる。
引き出しに手を掛けたまま
そのツリーから目を離さない俺のウサギ。
もしかして 、、
その顔は、、 だよな。
引き出しを開けない理由も至極お前らしいよ。
一日一日、俺みたいにずるする事なく、
一個ずつ、一個ずつ大事に
目を輝かせながら ツリーに掛けてきたお前。
クリスマスが終わったからって、、
それがすぐに無くなるのは寂しいよな? お前はきっと、
なんつー、、 顔する かなこいつは。
もう、、 開けてください。
お願いします。
カタン、、
あ、開けた、、
引き出しに手を掛けたまま
俺の方へ顔を向けて
知ってる、とむいむい したほっぺを
ピンク色にさせて はしゃぐ 俺のウサギ。
ほんと可愛いったらありゃしねぇ、
引き出しを指差す俺のウサギは興奮気味。
こんな早朝から
床につけた足をぺたぺた 音させてる奴なんて
北半球では お前か ペンギンくらいだと思う。
あ、違う。
ペンギンは北半球には生息してないから
水族館のペンギンを除けばお前くらい。
見て見て と袖を引っ張られた 引き出しの中、、
だとほっぺむいむい ウサギが指差す先にあるのは
ウサギが知ってると言う
ドーナツ、、 ではなく うーん、、
言うべきか?
言わないべきか?
どうなんだ、正解がわかんねえ、、
ドーナツ、、 でもいいんだよなあ 別に俺は。
でも、今日の引き出し。
終わりの引き出しに
これが入ってるのは意味があるのかも。
真ん中に穴が空いてんのが
ウサギ的ドーナツ定義なら、
輪ゴムも、浮き輪も サンタがくる煙突も、
ブラックホールも 全部ドーナツ、、
ドーナツの穴の発明者と言われてる
メイン州出身のグレゴリー船長も
これをドーナツと認めてくれるだろうか。
ちなみに 6月の最初の金曜日はドーナツの日。
これはクリスマスリース。
最後の引き出しに相応しいオーナメント。
意味は、
ぺ、、た、
ん?しゃがみ込んでどうした?
あ、あのー、、
ご、ごめん、、
そんな、そんな恥ずかしがらなくてもいいよ?
間違いは誰にだってある、、
てゆうかお前は知らないだけ。
床にうずくまってるから
顔は見えない、けど、
色のない髪の毛から覗く耳が真っ赤、、
なんつー顔、、
言わない言わないよ。
こんな可愛いウサギ 誰かに知られてたまるか。
クリスマスリースとドーナツを間違えて
まつげに涙を滲ませながら
誰にも言わないでなんて、
北半球でお前か、、 お前くらいだと思う。
俺も昔は
掃除機をブラックホールだと思ってたし、
ひじき や わかめ を海の排泄物だと思ってたし、
黒い飲み物は動物の尿だと思ってた時期があったよ。
だから大丈夫だ、
まぁそれは俺が小学校上がるまでだけど。
うん、
永遠、、 身体が朽ちても ずっとって事。
朽ちるまで
朽ちても 変わらないんだろな、 お前への気持ちは。
えいえいおー は
みんなの士気を上げる為の掛け声であって
ずっと続く事、ではない。
うん、永遠。 ずっと続く、終わらない事。
それから 俺が仕事から帰宅し、
イェンさんに頼んでたクリスマスっぽいご飯を食べて、
ウサギでも食べられそうな
甘さ控えめの小さなケーキをふたりで食べた。
ずっとクローゼットで眠ってた
もこもこパーカーも やっと 渡すことができたし。
ウサギは びっくりするくらい可愛い顔して喜んで、
そして、 泣いてた。
俺もつられて嬉しくなって、
むいむい するウサギを見ながら久しぶりに
たくさんお酒を飲んだ。
ほろ酔いの脳みそでボヤッと考えてた事は、、
始まりがお前だったから
終わりも、、
終わりまで ずっと、、 お前がいいなって。
始まりも終わりもお前なら、
きっとそれは永遠 って事だよなって、
沸いた頭で考えてた。
そして ドーナツの発明者
ハンソン・クロケット・グレゴリー船長の事も。
こうして、 俺たちのクリスマスは終わった。
ドーナツによく似たクリスマスリースをツリーに掛けて。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。