第656話

口約束以上 婚姻関係未満
4,397
2023/05/24 04:56




テヒョンside



AM10:05




ジョングク
ジョングク
い、いてらしゃ、、  い。  


ちゅっ、
テヒョン
テヒョン
ん、いってくる。 



バタン、、








テヒョン
テヒョン
う、、さむ、  
てぶくろ、手袋、、    あった、あっ
テヒョン
テヒョン
 、、   
言っとくけど まだにやけてない。
にやける寸前で
表情筋に力を入れて思いとどまったところだ。
テヒョン
テヒョン
ぁったか、、  
ウサギにもらったワインレッドの手袋。
ていうか 自分で買ったって言ってたけど
あいつ、、
買い物も出来るようになったのか?
テヒョン
テヒョン
帰ったら聞かなきゃ、、  

明日は10日、接見の日。

幸せだからって言うだけ、、 それだけかもしれないけど
俺は言いしれぬ不安でいっぱい。

嫉妬、、ではなく どちらかというと苛立ち の方。
もうあいつと関わらなくていいのにって、

だけど1番は、
テヒョン
テヒョン
はぁ、、  

俺のウサギが傷ついたり、、悲しくなったり
しなけりゃいいなって。

テヒョン
テヒョン
 、、   
俺から離れてる間に何回か接見した事は聞いてる。
だけどさ、
今は俺の所にいて、、だから
接見がすげー身近に感じる。

あの時は心配するだけしかできなかった。

テヒョン
テヒョン
うーん、、  
でも今回は隣に、帰ってきた時 隣にいてあげられる。

それだけしか出来ないけど、
前みたいに
闇雲に心配するだけしか出来なかった俺よりはいい。
テヒョン
テヒョン
なにか、買ってこうかな。
帰りに、、
あいつの元気が出そうなもの。


ってなんだろ。
俺があげると喜ばないものはない気がする。
あ、これ思い上がりとかじゃなくてね?

あいつは誰に何を貰ったとしても喜ぶだろうから。
テヒョン
テヒョン
 、、  
でも1番喜ばせたい。

だって夫なのだから。
そう、何を隠そう俺は夫なのだから。










テヒョン
テヒョン
大丈夫そうだね、  
ジン
ジン
テヒョンくんが集めてくれたスタッフが   
優秀だからかな。
テヒョン
テヒョン
ね、ジンさん。  
ジン
ジン
何かな? テヒョンくん。  
テヒョン
テヒョン
あははっ、何その話し方、、  
ジン
ジン
仕事の話は終わり。
今からは君のカウンセラーとして
話を聞くから、かな?
テヒョン
テヒョン
1時間いくら?   
ジン
ジン
うーん、、 時給よりも
僕の基本給を上げてもらおうかなあ、
テヒョン
テヒョン
しっかりしてるなあ、、
さすが大人の雰囲気が出るわけだ。
ジン
ジン
ヤー!   酷いね!
それで、どうしたの?
テヒョン
テヒョン
あー、、
夫の役目ってなんですか?
ジン
ジン
役目?  唐突だなあ、、  
テヒョン
テヒョン
ジンさんは夫として
勤めて気をつけてる事ってある?
ジン
ジン
夫として?  
人としてじゃなくて?
テヒョン
テヒョン
うん、おっと。   
夫として、
ジン
ジン
ヤー、なんでそんな難しいこと聞く、、   
テヒョン
テヒョン
だって夫歴長いでしょ?   
ジン
ジン
長いってほど
長くもないんだけど、、
テヒョン
テヒョン
教えてよ。
夫歴1週間ちょいの俺に、、
ジン
ジン
ん?  結婚したの?   
テヒョンくん。
テヒョン
テヒョン
嫁に来てくれたの。  
ジン
ジン
はい? 
テヒョン
テヒョン
俺の大事な人がね?
1月1日の朝方に嫁に来てくれたの。
ジン
ジン
 、、それは
突っ込んで聞いていい話なの?
テヒョン
テヒョン
突っ込むってジンさん、、  
まだお昼だよ?
ジン
ジン
ヤー!何言ってるのっ!  
テヒョン
テヒョン
あ、赤くなってきた。  
ジン
ジン
そうゆうのやめてよっ!  
テヒョン
テヒョン
ごめんごめん。 
いいよ突っ込んで、突っ込んで聞いて。
新婚だから。
ジン
ジン
テヒョンくんのパートナーは   
男の子だよね?
嫁って?
テヒョン
テヒョン
男だって言ったっけ?   
ジン
ジン
何となくね。
そうかなって。
テヒョン
テヒョン
さすが 鋭いなあ、、  
ジン
ジン
そう?  
テヒョン
テヒョン
嫁に来てくれるって 言ってくれたの。
ジン
ジン
それは養子縁組ってこと?   
それか海外で?
テヒョン
テヒョン
いや?  口約束。   
ジン
ジン
 、、   
テヒョン
テヒョン
おままごとみたいだなって   
思ったんでしょ?
ジン
ジン
あーやー、、、
そうじゃないけど、、
テヒョン
テヒョン
そうなんでしょ?   
ジン
ジン
うん、まあ、そうかな。  
テヒョン
テヒョン
ふふっ、俺もそう思うよ?  
ジン
ジン
なら養子縁組してもいんじゃない?   
彼にもその気はあるんでしょ?
テヒョン
テヒョン
出来ないんだ。  
ジン
ジン
え?  どうゆうこと?   
あ、審査が厳しそう?
テヒョン
テヒョン
ううん、したいのは山々。
だけど、今はその時じゃないかな。
今、俺の戸籍にあいつを入れたとして、、
防波堤になってるかもしれない
先生の効力はなくなる。

最悪の事態は考えたくないけど、
もし俺が考えうる最悪の事態に陥った時、
俺の戸籍にあいつがいるのは
正直あちらにとっては好都合。

なんせあちらの人身売買制度を
俺も利用しているわけだから。

そんな餌をわざわざ自分の手で撒くようなことは
したくない。
ジン
ジン
少し複雑、なのかな?   
テヒョン
テヒョン
そう、複雑。
同性結婚が認められれば
話は別なんだけど。
韓国で、どこの自治体でもいい。
それが認められれば
話は別。

ちゃんと愛し合って夫婦、として国が認めてくれれば
世間も俺の味方に、、 味方に? うーん、、

テヒョン
テヒョン
つかないな。  
どっちにせよ 今は、、無理。
ジン
ジン
 、、   

韓国の高裁が最近、
同性カップルのパートナーを国民健康保険の
被扶養者として認める判決を出した。

だけど
韓国のLGBTQ(性的少数者)の権利韓国政府は2007年、
差別禁止法案を初めて国会に提出。
だけど保守系キリスト教団体の抗議を受け、
性的指向を理由とした差別禁止条項を削除した上、
結局廃案になってる。

今もその法案は反発が強く成立には至ってない。


いくら若い世代がLGBTQだと騒いだって
未だ韓国国民の大半は同性愛には批判的だ。

テヒョン
テヒョン
なんで認められないの?   
同性愛。
ジン
ジン
うーん、、、そうだなあ、  
宗教的なこともあるし、
テヒョン
テヒョン
こんなに世界は
ステージアップしてるのに。
ジン
ジン
あれ?  でもテヒョンくんて   
ストレートだったよね?
テヒョン
テヒョン
ストレートっていうか
あんまり考えたことなかったかな。
でもジンさんが初めての男だよ?
ジン
ジン
あーしっ、その言い方やめて。  
テヒョン
テヒョン
あーまた赤くなってきた、、  
ジン
ジン
やめてってば。  もぅ、  
テヒョン
テヒョン
ごめんごめん。  
ジン
ジン
僕は、、
結果的に婚姻制度を利用できる
女性を好きになったから
問題なく今いれるけど、
テヒョン
テヒョン
うん、、  
ジン
ジン
正直この国で同性愛は
風当たりが厳しいよね。
テヒョン
テヒョン
だよね、 俺もそう思う。  

憎たらしい義兄からウサギの戸籍を抜かないのは
それが一因でもある。
正直、現時点でこの国で同性婚のベストである
養子縁組。

貧困の差が著しかった韓国では養子縁組は
普通に行われてた。
でもそれは子供の将来性、やむおえぬ事由だから。

この国 韓国で未婚の母に対する当たりはきつい。
そして国からの補助も手薄で、、
あいつは未嫡子だから、
そのモデルケースに当てはまる。
だから先生の戸籍に入れたんだ。

ジン
ジン
この国はね 閉鎖的ではあるよね。  
その件に関しては、
テヒョン
テヒョン
好きになった人が
同性だった、ってだけじゃない?

同性婚を目的とした養子縁組は審査が厳しく
韓国憲法では男女の婚姻の権利は書かれているけれど
同性婚にまでは至ってないのが現状。
そしてそれが変わることは
非常に厳しい道のりだと言われてる。

ジン
ジン
うん、僕もそう思うよ?
でもその だけ、が だけ と思えない人が
まだ過半数ってことだよね。
テヒョン
テヒョン
 、、 俺には理解できない。   
人として普通のことでしょ?
好きになるのは、


でも、もしそれが可能だとして、、

俺は何言われてもかまわないし、
差別的な目で見られたとしても
どんとこい。


だけど俺のウサギは違う。


外の世界へ出るようになった俺のウサギが、
素性も知らない人からの何気ない言葉で
そんな、、
ウサギのことを何も知らない奴らに言われた些細な事で
俺のウサギが傷つくのは俺が堪らないんだ。

ジン
ジン
まあねぇ、それはそうなんだけど。
でもそんな重く捉えてないでしょ?
テヒョンくんは。
テヒョン
テヒョン
ふふっ、そうかも。   
ジン
ジン
うん、そんな気がする。
テヒョン
テヒョン
認められて、
得られる権利はあるだろうけど、
おままごとの口約束の方が
今は大事かな。
ジン
ジン
そうだね。
まずその意思がなきゃ
先に繋がっていかない事だしね。
テヒョン
テヒョン
うん、本当にそう。  


意思がなきゃ、、 その意思がウサギにある今、
法的に認められる事は重要じゃなくて、
俺が望むことはひとつだけ なんだよ。




















PM2:45





ガチャ、、






ぺたぺたぺたっ!





ジョングク
ジョングク
はっ、はやいっ、、  
テヒョン
テヒョン
ふふっ、うん。
早く帰ってきたの。

明日は接見もあるし。
今日は出来るだけ隣にいてやりたい。
ジョングク
ジョングク
はやっい、、うれし、  
テヒョン
テヒョン
あ、、  
ジョングク
ジョングク
ゔ?   

マルコの店 寄ってくるの忘れた。
何か買ってこようと思ってたのに、、




ジョングク
ジョングク
んぁ、、  ぁ、  
え、どうした?  
まだ何もしてないのに
俯いて胸のとこをぎゅうぎゅう、

まだ何もしてないよな? 俺、、
テヒョン
テヒョン
どう、、した?   ぅわっ!  




ちゅっ、






テヒョン
テヒョン
え、  


これ、おかえり のじゃなくて、 おーじさまの、、


ジョングク
ジョングク
ゔ、  と、とびだし、て、ごめん、  


は? 飛び出したの? なにが?

外そうと首にかけたマフラーの両端を引っ張られて
口にちゅう された夫歴1週間ちょい の俺。



何が何だか、、 何だったの? 今の、


テヒョン
テヒョン
ど、どうした、いきなり、   


動物が顔の毛繕いをするみたいに
スウェットの袖で顔をさわさわ、もにょもにょ、、

ジョングク
ジョングク
てっ、てぶ、っくろ、、   
テヒョン
テヒョン
てぶくろ?   
ジョングク
ジョングク
しっ、してくれて、るっ、  
テヒョン
テヒョン
あー、、   

あ、鍵開ける時にいつも下で
ポケットに入れて来ちゃうから、、
ジョングク
ジョングク
 、、っ は、ぁ、  っう、っん  うれ、し     

お土産なんかなくたって、
俺が手袋をしてるだけで
息を詰まらせて耳を真っ赤にしてくれる。
ジョングク
ジョングク
ゔ ぁ、、  だだ、いる? いない?   
テヒョン
テヒョン
いないよ。
ドア閉めたから、、
ジョングク
ジョングク
よ、よかた、 、  

明日もその顔でいてほしい。
帰ってきた時 その顔でいてほしい。

ジョングク
ジョングク
あっ、あった、い?  てぶく、ろ、   
テヒョン
テヒョン
あったかい、、  
すげー あったかいよ。




俺がウサギに望む事は今も昔も変わらない。
普通じゃなかったお前だからこそ
普通に、 普通の幸せ。



ちゃんと食って、
ちゃんと寝て、
たまに笑ってくれたら それでいいんだ。





それが俺の隣ならもっといい。












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