テヒョンside
お前から、
抱きしめてくれる日が来るなんて、
体調は最悪だけど、今日はいい日だな。
さっきまで祈るみたいに握りしめてた両手は、
今、俺の背中にある。
ゆっくり立ち上がって、
辿々しいけど、
優しく抱きしめてくれた。
痛いくらいって言ったのに、
やっぱりお前は優しすぎなんだよ。
ウサギが抱きしめてくれたおかげで
密着した体に
俺の左耳から
ジョングクの心臓の音が響いた。
どくん どくん、って、
ちゃんと動いてる、生きてる音。
落ち着く音、なんだな。
生きてる音ってのは。
話し始めてからは
落ち着く音から少し顔を離して、
ウサギの顔を見上げてた。
一生懸命に伝えようとして、
時たま、
俺の背中を抱く手が強張ったり、緩んだり。
それでも
小さな口を目一杯に動かして話すジョングクは、
もう買った時の、
あの時のジョングクとは違ってみえた。
伝えようって気持ちが嬉しい。
気持ちが通じる、会話ができる。
いつもは俺がジョングクの思ってるだろう事を
思って話す。
でももう、ちゃんと話すことができる。
ジョングクと、お前と目を見て話せる。
当たり前は当たり前じゃない。
買った時なんて、会話にすらならなかった。
それに今は、少し口元がはにかんでる。
初めて見る顔だ。
いつもほっぺをむいむい させることはあるけど、
こんな嬉しそうな顔は初めて見るかも。
繋がる、ことが、
繋がれることが嬉しいのかな。
俺だって嬉しいよ。
俺が繋がりたいのはお前だけ。
もっと深いところでお前と繋がりたい。
俺しか見ないで?
そんな、、可愛い顔で他のやつを見ないで?
俺以外いらないって、言ってよ。
あー、、もう、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。