第2話

困惑
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2018/05/20 01:19
翔は真剣な顔であなたを見ている。


最初は思わぬ発言で混乱していたが、何となく落ち着いていき今は冷静になれている。
あなた

愛人って、私は普通の不倫とは違うんだよ?
それにちゃんと尽くしたいから、
私は今の男とは別れるの。
だからお金だってそいつより多く必要なんだよ。
あなたに出来る?

泉屋 翔
お金ってどれくらい必要なの?
翔は真面目そうに聞くので言ってやった。
あなた

まぁ1回で700万円かな。
トータルで。

ふっ、あんたには無理。
泉屋 翔
分かった、700万な。
あなた

えっ!?払えんの?
言っとくけど1回会って、終わらせるなんて許さないからね。

泉屋 翔
お前、俺のこと忘れたの?
あなた

えっ?

翔はさっと名刺を見せた。
あなた

株式会社◯◯副社長…
…副社長!!!?

泉屋 翔
本当に覚えてねぇんだな?
そうだ、コイツは超絶の坊っちゃまだったわ。
泉屋 翔
もう一度言うけど、俺の愛人になれ。
あなた

…分かった。

私は苦しくも頷いた。
泉屋 翔
ふっ、じゃあ今夜さっそく会おうか。
お前ん家でいい?
あなた

えっそれは無理だって!

泉屋 翔
何で?


実は私には家が二つあり、


一つは社長が送り迎えして来たときに
お金無いんだな、と
思ってもらえるように買ったボロアパート。
二つ目は貰った金で住んでる、高級マンション。



まぁ一つ目のとこでいいか?
あなた

いいよ。うち狭いけど。

泉屋 翔
あ、お前愛人用の家とか言って、
ボロいとこ行かせるき?


えっバレた。
何こいつエスパーなん???
泉屋 翔
お前はどうせ、そこそこいい所住んでんだろ?


その美しい顔で
じっと見つめられると嘘がつけなくなる。
あなた

…分かったよ。



私のもう一つの家に誰かが入るのは
初めてで緊張を今からしてしまう。
泉屋 翔
じゃあ今夜、ここのレストランで7時30分に待ち合わせな?
あなた

はい。

泉屋 翔
じゃあ、また。


翔は時間が少しかかったのか
急いで帰ってった。



何やってんだよ、私。



翔の前だと冷静さが無くなる。





昔のことを思い出してしまう。




本気になったら、また捨てられる。




冷静に判断してアイツを本気にさせてやるんだ。



-7時40分-

10分オーバー!

私を待たせるなんて良い身分ね!




てか…本当にアイツ来るのかな。
泉屋 翔
よっ、待たせて悪かったな?


翔は後ろから声をかける。
あなた

きゃっ!なに!

泉屋 翔
お前元気無さそうだから、励ましてやろうと思って!
あなた

はぁ?
誰のせいだと思って…!

泉屋 翔
えっ俺が待たせたから?


…しまった。


冷静に判断せねば。
あなた

違うけど。

泉屋 翔
ふーん。
てか腹減ったべ?
何食う?
あなた

えっと…




メニューに値段は書かれていなくて、

本当に高い店だと分かるけど

この店に合わない喋り方が妙に落ち着いてしまう。






あっという間に時が流れ、今は翔の車の中。


本当に私の家に行くんだよね。



そして、彼に今夜抱かれる。


私は翔の運転している姿を見る。



悔しいぐらい絵になる。



前にスカウトされたことがあるって言ってたっけ?


まぁそれなら私だって…


って何張り合ってんだろ笑
泉屋 翔
場所ここであってる?
あなた

うん、もうすぐでつくよ。

泉屋 翔
分かった。


車を止めて、私の部屋1005号室に向かう。
あなた

ここが私の家だよ。

泉屋 翔
おう。

緊張して何を自分が喋ってんのか分かんなくなる。

鍵を開け、ドアを開けた。



私は翔に今から──



泉屋 翔
お邪魔しまーす!
あなた

えっ?

泉屋 翔
ん?
あなた

いや、どうぞ。

泉屋 翔
あぁ、ってかやっぱりいい所住んでんな?
あなた

ありがとうございます。

泉屋 翔
まぁ俺には負けるけど。
あなた

うるさいな!


翔は子供のように笑う。
泉屋 翔
てか、シャワー浴びていい?
あなた

えっ//
うん…いいよ。

泉屋 翔
サンキュー!


翔はさっき買ったであろう服を持って


脱衣所に行った。





しばらくしてシャワーの音が聞こえてくる。




えっと…私はスタンバっとけばいいのかな?




どうしたらいいのか分からず、オドオドしてしまう。


すると、翔は上半身裸でバスタオルで頭を拭きながら出てきた。


私はその美しい身体と色気に惹き込まれる。
泉屋 翔
お前も入れば?
あなた

うん。じゃあ入るね。

服を脱ぎ、鏡の前に立つ。


他の女よりは綺麗だよね…?





身体を念入りに洗い、鼓動を落ち着かせて

寝室に向かう。








私は今から翔の愛人になる──






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