まずい。
猫宮には確実にバレてると思ってたけど、
知られてなかったのか?
俺は焦って猫宮の口を塞ぐ。
だって、今の俺は……………………………
歌い手だった頃の俺じゃない。
無邪気に歌を歌って、喜んでいた俺じゃないから。
俺の…………………歌?
楽しそうに………………?
歌うことが嫌いで、ずっと避けて生きてきたのに…
それでも、俺の歌は楽しそうに聞こえたんだ…………
俺は「夢の唄」の作詞をした時、
ずっと母さんのことを恨んでた。
―――――――――1年前―――――――――
あの頃の俺は強要されて歌ってた。
歌い手を始めたての頃のような快感はなかった。
俺はnecoさんの「REMEMBER」を聞いて、
こんな曲を表現したいと思ってずっと歌ってきた。
だから、necoさんと曲を作れるのは、
すごく嬉しいんだけど…………
それでも、作らない訳にはいかなかった。
俺の………………
引退楽曲になるのだから。
母さんに勝手に始められた歌い手活動。
始めたての頃が1番楽しかった。
あの頃に……………
俺を連れ戻してくれるような曲。
そんな曲をnecoさんと話して
作っていくことになった。
―――――――――現在―――――――――
俺は猫宮にそう問いかけると、
想定外の答えが返ってきた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。