私はどこにでもいる陰キャ。
そして私には、普段見えないものが見える体質。
そのため、友達が少ない。
皆、私が「ユーレイ」が見える怖い人、などと恐れるからだ。
私の相棒は、ヘッドホン。
だって、それがあれば、ひとのことば、一切聞こえないでしょ?
帰り道。
前には、同クラの女の子。
え、私…?
でも、あなた達の話はついていけないから。
この子も、いずれか私を避ける。
皆が私を避けるように。
またヘッドホンをかけようとしたその時。
誰も周りにいないのに、声だけが聞こえた。
この声は、幼い頃からの私の友達と言える声だった。
だが、これは、過去の話。
今は、あんたらのせいで…それで、私は…
私はまた、ヘッドホンをかけなおした。
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あ、マジックショー。
箱に人を入れ、消すマジックだ。
私の目の前に、ピエロが現れた。
さっきまで、舞台にいたのに…
魔法みたいなその声は、私の首を縦に動かそうとしているようだった。
舞台に上がり、箱に入る。
暗くて静かなその空間は、何故か居心地が良かった。
3、2、1。
ピエロの声と同時に目を開けると。
そこは私のいた場所では無かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。