第8話

7 ︎︎☁︎︎*.
5,220
2021/02/07 13:53
《リノside》




ふと思った。





あなたに、また会いたい。






なんか、あのふらふらしてて掴みどころがないところが






すごく気になる。






顔が見たくなる。





連絡先を聞かなかったから会える可能性があるのは、あの公園へ一か八かでいってみることくらい。





今日は、あの野良猫ちゃんを探しに行ってみようかな。




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リノ
リノ
あれ……いないか……



まあ、そりゃそうだよね。





いないのは分かってはいたけど、がっかりしてる自分がいる。

















それから、数週間。








何度かあの公園へ行ってみたけどいない。







もうあそこには来ないのかな。







もう、あなたのことも、聴かせてくれるって約束した曲のことも忘れかけていた。






そんな時のことだった。







いつものようにランニングをしていた。







街中で路上ライブをしているバンド。







アコースティックバンドかな。


リノ
リノ
うそ……


聞き覚えのある声。






見覚えのある白い肌と長い黒髪。







間違いない。あなただ。







あの憂いのあるアンニュイな表情。







おかしいな。







すごく恋しかったのかもしれない。








掴みどころがなくて、猫みたいな彼女にいつの間にか惹かれてたのかもしれない。







今凄く嬉しい。






もうすでに周りにはたくさんの人で、俺は後ろから彼女のバンドの演奏を見ることにした。







1曲終わり、彼女が顔を上げる。



(なまえ)
あなた
聞いてくれてありがとう



あの声だ。少しハスキーな落ち着いた声。







あ、今。







目が合った。











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