第16話

名木沢くんと三角関係?
6,467
2022/06/04 04:00
いつも笑顔の一哉くんが、こんなに真剣な表情をしたところは、今までに見たことがない。
名木沢 一哉
名木沢 一哉
告白するまで、修二とは、一度も喋ったことがなかったって聞いたけど
(なまえ)
あなた
なんでって、それは……
(なまえ)
あなた
(あなたと間違えたなんて、言えない)
──カチャ、ガタン。
玄関の方で、物音がした。
(なまえ)
あなた
(誰か来た?)
(なまえ)
あなた
あっ、お家の人、帰ってきたんじゃない?
名木沢 一哉
名木沢 一哉
いや、今の時間、母さんはまだ……
第三者の登場に、ホッとしたのもつかの間。
名木沢 修二
名木沢 修二
ただいま
(なまえ)
あなた
(修二くん!?)
隠れる暇もなく、足音はリビングへ。
名木沢 修二
名木沢 修二
一哉、誰か来てんの? あの靴──
(なまえ)
あなた
あ……
名木沢 修二
名木沢 修二
は?
名木沢 一哉
名木沢 一哉
おかえり、修二。濡れてないか?
気まずい私とは反対に、一哉くんは冷静に修二くんに話しかける。
名木沢 修二
名木沢 修二
なんであなたの下の名前が、ここに
(なまえ)
あなた
あの……
名木沢 一哉
名木沢 一哉
変な誤解すんなって。ふたりで車に水かけられて、うちの方が近いから、暖まってもらおうと思っただけだよ
名木沢 一哉
名木沢 一哉
このままだと、風邪引いてたからさ
名木沢 一哉
名木沢 一哉
さすがに、俺の服貸すのはどうかと思って、母さんの服持ってこようと思ってたけど、せっかくだから、修二の服貸してくれる?
名木沢 修二
名木沢 修二
……お前に言われなくても
名木沢 修二
名木沢 修二
こっち来て
(なまえ)
あなた
ううん、私、もう帰るよ
名木沢 修二
名木沢 修二
いいから
(なまえ)
あなた
あっ、は、はい……っ
修二くんに、グイッと強く手を引かれ、駆け足気味についていく。
連れていかれたのは、二階にある一室。
(なまえ)
あなた
(修二くんの部屋……!?)
名木沢 修二
名木沢 修二
でかいと思うけど、これに着替えて
クローゼットから出して、渡されたのは、パーカーと細身のパンツ。
(なまえ)
あなた
ありがとう
(なまえ)
あなた
(ずっと、不機嫌だ……)
彼氏が出来て、初めて彼の部屋におじゃまをするシチュエーション。
さらには、彼の服に袖を透す。
以前夢見ていたよりも、ずっとドキドキする。

……違った意味で。
(なまえ)
あなた
(修二くん、怒ってる)
服を受け取ったまま、動こうとしない私を見て、察したのか、修二くんは部屋の扉を開けた。
名木沢 修二
名木沢 修二
悪い。俺がいたら、着替えられないよな。出てるから
(なまえ)
あなた
あ……
パタンと静かに閉まる扉を見て、後悔する。
(なまえ)
あなた
(話せなかった……)
待たせたくないから、制服を脱いで、急いで服を着替える。
(なまえ)
あなた
(本当だ。大きい)
パーカーの肩がずり落ちて、袖にすっぽりと手が隠れる。
パンツも長すぎるから、歩きやすいようにすそを折り込む。
(なまえ)
あなた
(修二くんのにおいがする)
扉を開けると、修二くんが壁に背を預けて、腕を組んで待っていた。
(なまえ)
あなた
服、ありがとう
名木沢 修二
名木沢 修二
送ってく
階段を降りて、リビングにいる一哉くんに顔を出す。
(なまえ)
あなた
今日はありがとう。おじゃましました
名木沢 一哉
名木沢 一哉
帰るの? 温かいココア入れたんだけど、飲んでいかない?
名木沢 修二
名木沢 修二
いいよ、もう帰るから
名木沢 一哉
名木沢 一哉
お前に聞いたんじゃないよ
(なまえ)
あなた
(なんだか……空気がピリピリしてる……)
名木沢 修二
名木沢 修二
行くぞ
(なまえ)
あなた
は、はいっ!
名木沢 一哉
名木沢 一哉
あなたの名字さん、また学校でね
(なまえ)
あなた
……うん

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