今日は、金曜日。
昨日の、修二くんからのデートの誘いは、一晩寝たら嘘なんじゃないかと思い始めていた。
学校に着いて、ボーッとしながら、上履きに履き替える。
(約束は、明日)
(本当に?)
(社交辞令じゃなく?)
昨日からずっと、同じことだけを考えている。
あなたの下の名前、おはよう~
聡美ちゃん。おはよう
ん? なんか顔赤くない?
あ……、修二くんのこと考えてたからかな
わぁ~、さり気なく惚気たなぁ~?
聡美ちゃんが、からかうように頭をくしゃくしゃと撫でてくる。
なーんだ、ちゃんと上手くいってるんだね。よかった
上手く……いってるのかな? 実は、よく分からなくて
靴を履き終えて、聡美ちゃんと教室に向かう。
分からないって? パッと見、仲良くやってるっぽいけど
毎日一緒に帰ってるんでしょ?
うん……
しかも、明日初デートなの
さ、聡美ちゃん、どうしよう……!?
えー! いいじゃん、ドキドキだね!
ドキドキどころじゃないんだよ……! 正直、デートの約束とか、私の妄想なんじゃないかって思ってる
いや、妄想デートって
なんでそんなに追いつめられてんの?
したことないの、デート……
何をどうしたらいいのか、少しも分からないの
どうすればいいの!?
あんまり考えなくてもいいと思うけどなぁ
んー。そうだ、あなたの下の名前、今日はお昼、あたしと一緒にいられない?
*
『今日は友達と食べるね』
と、修二くんには連絡をして、いつもの空き教室へ。
そして一哉くんは、体調不良で欠席。
(一哉くん、大丈夫なのかな)
(昨日は、濡れた制服のままで、わざわざ私のリボンのために追いかけてくれたし)
……
(具合を聞こうにも、連絡先の交換はしてないし)
やっとあなたの下の名前とご飯食べられるね~
私も嬉しい
ねえ、本当に、今まで他のクラスの友達と、お昼いたの?
ひとりじゃなかった?
心配してくれて、ありがとう
実は、一哉くんが気をつかって、たまに来てくれて
昨日からは、修二くんも一緒だったの
えっ、名木沢くんたちが? 兄の方も?
うん。一哉くんって、友達思いだよね
……
今日、風邪引いたのも、私のせいなんだ
傘に入れてくれたり、濡れたままで忘れ物届けてくれたりしたから
一哉くん、大丈夫かな。心配……
あのさ
なに?
もしかして、あなたの下の名前って、兄の一哉くんと両想いだったりしない?
……え?
いや、なんか、そんな感じしたっていうか
だってさ、あなたの下の名前って本当は一哉くんのことが好きだったでしょ? 修二くんに告ったのって、人違いだったわけだし
一哉くんって優しいけど、女子とは基本距離を置きたがるし、今聞いた感じだと、あなたの下の名前にはかなり自分から近づきにいってるよね
あの……
あっ、ごめんね。余計なこと言った。今好きなのは、修二くんだよね
修二くんとのデートのために、悩んでたんだもんね。忘れて
うん……
頷きながらも、ずっと頭から離れなかった。
(一哉くんが私を……?)
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編集部コメント
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