翌日の日曜日まで、ずっとベッドの上だった。
頭が熱い。
ずっと体が重い。
一晩休んだはずなのに、朝、目が覚めると昨日よりも具合が悪くなっていた。
忘れたいのに、ずっと消えない記憶が、昨日の出来事は現実だったのだと、突きつけてくる。
遠慮がちに自室の扉が開いて、ママがそっと入ってくる。
ママがベッドのそばに置いてくれた、修二くんの服をチラッと見る。
*
学校に再び行けるようになったのは、それから三日後だった。
昇降口で聡美ちゃんに会って、一緒に教室に向かうことにする。
修二くんと別れたことは、まだ話していない。
教室に着いて、まず視界に入るのが、一哉くんの姿。
私の視線に気づいたのか、窓際にいた一哉くんは、教室の扉のほうにいた私に、小さく手を振った。
*
昼休みになって、私は久しぶりにいつもの空き教室に向かった。
待っていても、修二くんは来ないだろうけど。
窓の外の景色を見ながら、弁当箱の包みを解く。
数分もしないうちに、再び扉が開く。
一哉くんは、私の隣の席について、少し気まずそうな顔をする。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。