【夕陽side】
空とケンカした。まあ、私が怒るのは仕方ないことだと思う。
そう言って光月が見せてきたのは、空とおそろいで買ったシャーペン。
だけど、私のモノはペンケースにちゃんと入ってた。
私のじゃないってことは、空のモノしかありえないと思う。
たしかに、友だちとおそろいのものを私はそんな風に扱ったりしない。
光月は急に声色を変えて言った。
私は空のことを信じてるわけじゃない。
空のことも完全に信じてないわけじゃないけど、どちらかと言えば、今は光月の方が信じられる。
前というのは、空の事を親友と呼べて何でも話せる仲だったとき。
光月はニヤッと笑って言った。
ここで断ったら私までこんな風にされてしまうのではないかと、怖くなったから承諾した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。