そう思いながら開いてみると
”さっきはごめんな。”と1言だけ書いてあった
いつもよりキレイな字で。
急いでノートの端っこを破って書き始めた。
”謝らなきゃいけないのは私だよ、ごめんね。”
そう書いて深瀬の机に置いた
深瀬はそれを読むと、また何か書き出した
深瀬はそう言ってまた私に紙を渡した
開くとそこには、
”急なんだけど。今週の日曜日空いてたりするか” と。
いつも通りの字で。
ほとんど毎日暇な私はカレンダーなどを見なくても、空いてる日は分かる。
”開いてるけど、何で?”
深瀬に紙を渡すと、私は黒板に書いてあることをノートに写し始めた。たまにノート回収があるので、書いてない所があると先生に呼び出されて怒られてしまう。
ノートを書いていると深瀬が笑いながら言ってきた。先生にバレないように笑いを抑えてはいるけど。
私はノートに書いた文字を見返した
深瀬はそう言って私の顔の前でさっき私が深瀬に渡した紙をヒラヒラさせた。ノートじゃなくて、さっきの紙のことだったようだ。
私は、”空いてる”という字を”開いてる”にしてしまっていた。書き直そうと思って、深瀬から紙をとろうと思ったら
そう言って深瀬は紙を自分の机に置いた
そうだった。深瀬は人をからかうのが大好きだった。そんな人に恥さらしをしてしまったのだ。これから何日間かはこの話をいろんな人にされてしまうだろう。
私はぶっきらぼうに言った。
まるで小学生が言っているように言った
自分が遊園地に遊びに行きたいかのように言ったが、そう思われたと思ったのか、妹のためだということを2回繰り返して言った。
1回大丈夫か不安になったが、妹のためだということなら、大丈夫だと思ってしまった。
そう返すと、深瀬はもう何も言って来なかった
学校が終わり、家に帰ると深瀬からLINEが来ていた。日曜日の予定が色々かいてあった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!