第30話

♤第一部♧ 笑って!
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2020/02/27 07:53
シルア
ミイシャ様!!大丈夫ですか?!
…シルアちゃんの声がする。僕は重たい瞼を開く。そして、体を起こす。…って、ん??僕、今少しも力を入れてないよ?コレって、もしかして体が勝手に動いてる?
シルア
ミイシャ様!!大丈夫ですの?!それよりも、ミイシャ様が何故か回復したんですの。ワタクシ、魔法も何も使っておりませんのに。
シルア
…もしかして、リイシア様の?
答えようとしたけど、口が動かない。本当になんなんだ?コレ。…って、オイ!!いきなり歩きだした!!それも、アラマズドの方に!!
シルア
ミイシャ様?!何をしているんですの?!武器も持たないで行ったら本当に死んでしまうわ!!
気づいたレインが叫ぶ。
レイン
シルアさん!!姫様を捕まえてください!!
シルア
それくらい言われなくてもわかってるわよ!!
よし、シルアちゃん!!僕を捕まえてくれ!!
シルア
よし!!行きますわよ~!!
シルアちゃんがものすごいスピードでこちらへ飛んでくる。…え?ちょっと待って!!コレじゃあ僕、粉々になっちゃうんじゃ…。
シルア
…え?
は?僕、どーしちゃったんですか?今のを避けたよ?しかも、そのスピードでアラマズドの目の前に立ったよ?え?え?ちょっと理解できませんねぇ。ほら、みんなも気づいたみたい。
ラピス
お姉ちゃんなにしてんの?!
レイン
姫様!危ないです!!お下がりください!!
グリーシア
お黙りなさい。
レイン
ぐっっ…?!
シルア
魔力で威圧?!
一気に周りの魔力が膨れ上がる感じがした。どうやってやったんだろー?…じゃなーい!!!なにやってんだし、この人!!(自分だけど)みんなが心配して言ってくれてんのに威圧するとか何様だ!!ムキィィー!!自分で自分の顔を殴ってやりたい。もしかして、夢の中でオバサン(リイシア)が言っていた力ってこのこと?だとしたら次会ったときは、力では勝てないだろうから、メンタル粉々にしてやる!!
アラマズト(暴走ver.)
グリー…シア…なのか?
ん?アラマズドが何か言ったぞ?
アラマズト(暴走ver.)
グリー…シア…?
…それって僕のこと?僕はミイシャでーす!聞こえてないだろうけど。でも、もしかしたら今僕に乗り移っているって言った方がいいのかな?まぁ、その存在ってのはグリーシアなのかも。…そんなのわからないけど。
グリーシア
アラマズド。わかるかしら?私…グリーシアよ。
レイン
姫…様…?
アラマズドは攻撃をやめた。レイン達も攻撃をやめた。ただ、私…グリーシア(?)の話をじっと聞いている。
グリーシア
久しぶりね、アラマズド。私、会えてとても嬉しいわ。
グリーシア
ねぇ、アラマズド。私はいなくなってしまったけど、あなたのそばにずっといるわ。だから…ね?ずっと泣いていちゃダメ。前を向いて進みなさい。きっと、素晴らしい出会いがあるから。
アラマズト(暴走ver.)
グリー…シア…私は…私は…!
アラマズドが涙を流し始めた。グリーシアはふふっ、と微笑む。
グリーシア
泣かないでって言ったじゃない。
僕から何かが抜けていく感じがする。
グリーシア
そろそろ時間みたいね。アラマズド。私からのお願い。よく聞いてね。
グリーシア
笑って!私、あなたの笑顔が大好き!
レイン
あっ…!アラマズドの赤い光がどんどん消えていく…!
赤い光が完全に消え去った。アラマズドはにっこりと笑って言った。
アラマズト
ありがとう。グリーシア。

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