…シルアちゃんの声がする。僕は重たい瞼を開く。そして、体を起こす。…って、ん??僕、今少しも力を入れてないよ?コレって、もしかして体が勝手に動いてる?
答えようとしたけど、口が動かない。本当になんなんだ?コレ。…って、オイ!!いきなり歩きだした!!それも、アラマズドの方に!!
気づいたレインが叫ぶ。
よし、シルアちゃん!!僕を捕まえてくれ!!
シルアちゃんがものすごいスピードでこちらへ飛んでくる。…え?ちょっと待って!!コレじゃあ僕、粉々になっちゃうんじゃ…。
は?僕、どーしちゃったんですか?今のを避けたよ?しかも、そのスピードでアラマズドの目の前に立ったよ?え?え?ちょっと理解できませんねぇ。ほら、みんなも気づいたみたい。
一気に周りの魔力が膨れ上がる感じがした。どうやってやったんだろー?…じゃなーい!!!なにやってんだし、この人!!(自分だけど)みんなが心配して言ってくれてんのに威圧するとか何様だ!!ムキィィー!!自分で自分の顔を殴ってやりたい。もしかして、夢の中でオバサン(リイシア)が言っていた力ってこのこと?だとしたら次会ったときは、力では勝てないだろうから、メンタル粉々にしてやる!!
ん?アラマズドが何か言ったぞ?
…それって僕のこと?僕はミイシャでーす!聞こえてないだろうけど。でも、もしかしたら今僕に乗り移っているって言った方がいいのかな?まぁ、その存在ってのはグリーシアなのかも。…そんなのわからないけど。
アラマズドは攻撃をやめた。レイン達も攻撃をやめた。ただ、私…グリーシア(?)の話をじっと聞いている。
アラマズドが涙を流し始めた。グリーシアはふふっ、と微笑む。
僕から何かが抜けていく感じがする。
赤い光が完全に消え去った。アラマズドはにっこりと笑って言った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。