今、僕は凄いお屋敷の中にいる。少し状況を整理しよう。僕はライモンと話をして、夕食を食べて、それから宿屋の自分の部屋のベッドで寝たんだ。じゃあ、何故に僕はこんなお屋敷の中にいるんだ。って話になる。
僕の声に答える人がいた。謎の神、リイシア・アリシードがそこにいた。リイシアはにんまりと笑って言った。
即答。あっ。つい心の声が漏れてしまった。リイシアは、ちょっと悲しそうな顔して文句をぶつぶつ言ってからいつもの笑顔になった。そして何もなかったのかのように
いきなり目の前が光に包まれた。それから、意識が遠退いて…。
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真っ赤な炎が周りで燃え上がっている。大切なモノも、人もどんどんいなくなっていく。
そうだ…みんな僕…いや、私のためにいなくなってしまったんだ。私が《チカラ》を使ってしまったから。私の目の前にいた《人》が私の方を向いた。よく…見えない。何故か…見えない。あなたは誰?あなた誰なの?そう言いたいけど声が出てこない。目の前にいる《人》は微笑んでいるのだろうか。でも少し、悲しそうな声で
その《人》は前から来る武装兵の集団に向かって突進していった。
次の瞬間、私の目の前が光に包み込まれた。
私の悲痛な叫びはそのときにはもう、誰にも聞こえてはいなかった。
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僕は飛び起きた。何故だろう。涙が止まらない。あの人は誰だったんだろう。あの、懐かしい感じは何だったんだろう…。あの人はまだ、待っているのだろうか。千年間、僕のことを。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!