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第35話

♤第一部♧ 僕のお話を聞いて
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2020/02/27 08:08
ミイシャ
僕達からのお願いはラピスちゃんが知ってる通り、ラピスちゃんにここに残ってほしいってこと。でも、ちゃんとした理由があるんだ。言い訳にしか聞こえないかもだけど、僕は本気で言ってるから聞いて。
ラピス
う、うん…。
よし、聞いてくれるみたいだ。
ミイシャ
僕達が今戦ってる敵はね、とっても強いの。
ラピス
強いって、お父様でも勝てないくらい強いの?
ミイシャ
うん。だからね、死んでしまう人だって出るかもしれない。
僕はふっ、と微笑んで言った。
ミイシャ
ラピスちゃん。君は自分のお母様のお話は聞いたことがある?
ラピス
お母様?ラピスが一歳の頃に病気で死んだって聞いたけど?
やっぱりレヴァンさんは本当のことを言ってなかったか…。
ミイシャ
それは違うの。ラピスちゃん。それはレヴァンさん…君のお父様の優しい嘘。幼かった君のための優しい嘘なんだよ。
ラピス
優しい嘘…?詳しく聞かせて。お姉ちゃん。
僕はうん、と頷いた。
ミイシャ
ラピスちゃんのお母様はね、病気なんかじゃない。戦いで死んだんだ。九年前、アンデッドキング不死の王との戦いでね。
ラピス
ラピスは覚えてないけど、聞いたことはあるよ。精霊の国・ステラ出身の戦士精霊と呼ばれた光の上位精霊のオパール様が地に還ったとても有名な戦いでしょ?まさか、お父様達がその戦いに出てたなんて…。
ん?ちょっと待った。この言い方じゃまるで、ラピスちゃんはその光の上位精霊が自分のお母様ってことを知らないみたいじゃないか!
ミイシャ
ね…ねぇ、ラピスちゃんは自分のお母様の種族のこと、お父様に何て言われたの?
ラピス
えっと…確か、光の魔術師のダークエルフって言ってたよ。それがどうかしたの?
おいおいおい…マジかよ…。レヴァンさん、ラピスちゃんに大嘘言ってたのか…。
ミイシャ
あの…ラピスちゃん。これから言うことに驚かないでね?
ラピス
え、あ…うん?
驚かないでなんて超無理なことを言ってしまった。あはは…。
ミイシャ
ラピスちゃんのお母様はね、その…光の上位精霊のオパール様なんだよ。
沈黙…。
ラピス
え?
ミイシャ
うん?
ラピス
えぇぇぇぇぇええええ??!!
ラピス
そ、それって本当なの?!
ラピス
あっ、ごめんね。続きをお願い。
ミイシャ
オパールさんはね、体を…引き裂かれて死んだって。
ラピス
体を引き裂かれてって、そんな…。
ミイシャ
だからね、ラピスちゃんにそうなってほしくないんだよ。レヴァンさんは。
ミイシャ
わかって…くれたかな?
僕の語彙力ではこれが限界だ!!Yesって言ってくれ!!
ラピス
うん…。ラピス、お父様がそんなに心配してくれてるなんて知らなかった。お父様はラピスのことを考えて言ってくれたのにひどいこと言っちゃった。
ラピス
ごめん。ごめんね…。
ありゃ?これ、泣くパターンじゃ…。ま、いっか。
ラピス
うぇぇぇえええん!!!
ミイシャ
よしよし。ラピスちゃん。良い子だ。
日の光に照らされた暖かい部屋で僕とラピスちゃんの声だけが響いたのだった…。

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